山陰放浪記〜縁に引かれて大社まで
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仲本
2011年08月04日 22:13 visibility373
(島根準決勝・第二試合に登場した松江商業の横断幕。地方大会には第2回から連続出場しているという。山陰の野球部おそるべし)
今回の遠征候補地を検討していて、島根大会のメイン会場・浜山球場が大社高校と目と鼻の先だということに気がついた。島根大会と皆勤校で一挙両得、近くには有名な神社もあるから寄り道もできそうだ。あとは鳥取大会の日程を確認し、ルートはトントンと決まった。
それどころか、雨で日程が変わったことで大社高校は試合まで観戦することができた。惜敗に終わったがいい試合だった。旅の神様が今年はいろいろ味方してくれたのかもしれない。
広い浜山公園を抜け、手近の定食屋に立ち寄った。店のテレビでは第二試合の中継が始まっていた。序盤から開星の何番打者かが本塁打を打ち込んだ。
店のおばさんに尋ねてみた。
ここから出雲市の駅まで、タクシーだといくらくらいですかね?
さあ、1500円くらいかしらねえ。呼びましょうか?
…いや、まだ寄るところがあるので。
遠くからきなさった?
はあ、大阪からです。さっきまで球場にいました。
あら、わざわざ?
ええ。鳥取と島根を回って、今日のうちに大阪まで帰ります。
おばさんの顔が世の中には奇特な人がいるものねえ、というふうになったところで店を出た。
そしてさらに奇特な行動をとることになる。
寄るところ…(苦笑)。
定食屋で時間がつぶせたおかげで、試合が終わった大社高校の応援団が球場から学校、さらにそれぞれ帰路につき、学校の周りは人が少なくなっていた。
グラウンドでは、夏の闘いを終えた野球部員たちが引退式を行なっているようだ。三年生の高校野球は今日で終わりである。大社高校は伝統校ながら体育科もあり、野球部もなかなかの大所帯だ。
バックネットには「全国制覇」の文字。
その意気やよし。
来年の夏、20年ぶりの甲子園を目指してここから再びスタートを切る。94回目の夏である。
定食屋のおばさんにタクシー会社の電話番号ももらっていたが、結局なかなか来ない田舎のバスを待つことにした。わたしが乗り込んだあとは乗り降りする人もほとんどなく、バス停をどんどん通過する。右へ左へ曲がりながら約20分。結局出雲市駅までほぼノンストップ・ドライブとなった。
皆勤校という縁に引かれてやって来た山陰の夏。とても他人は連れていけない行程だが、実り多い旅だった。
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