放浪記〜江夏を倒した意外な高校(後編)

  • 仲本
    2010年04月19日 23:19 visibility288




日曜日の昼下がりということもあって、グラウンドに部活の子たちの姿はなかった。校舎から時折吹奏楽が聞こえてきた。あとでわかったのだが、野球部は春季大会の試合に出かけていたようだ。

防球ネットで囲まれているが、総じて校舎を巡る塀が低い。グラウンドの裏手はことのほか低い。旧女学校の面影を今にとどめるということで、文化財指定まで受けているそうな。なるほど女学校ならボールや生徒(?)が塀を乗り越えるなんてこともなかったのだろう。丁寧なことに桜の花模様までくり抜いてある。強面の江夏投手を破った学校はあくまでも優しい印象、このギャップがなんともおかしい。

さて、当時の桜塚、快進撃の立役者はやはり好投手だった。エース・奥田投手は右のサイドスロー、完封の連続で勝ち上がり、江夏の大阪学院との準決勝を迎える。桜塚3回の攻撃、ヒットで出た走者が牽制からの挟殺エラーで二進。次打者の送りバント、三塁封殺を狙った球が悪送球…。転がり込んだような1点を守りきっての勝利だった。

奥田投手はその年のドラフトで阪神に指名されもした。プロ1軍では勝ち星がつかなかったが、江夏投手との友好は長く続いたのだとか。





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