読んでみた~白球の世紀 高校野球100回秘史
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仲本
2020年06月10日 22:07 visibility355
観戦記も放浪記も書けないので、野球本をもう一冊取り上げる。第100回の夏の甲子園大会に向け、朝日新聞紙上で連載された記事をまとめたものだ。
高校野球の本と思って読むと期待を裏切られるかもしれない。その時々の社会情勢が述べられ、「一方そのころ甲子園では、」と付け足しのように触れられる回も多いからだ。名勝負・名選手はさすがに語られつくしたということだろう。清宮幸太郎も田中将大も松坂大輔も登場しない。したがって若いファン(いればの話だが)にはあまりお勧めできない。
一方で、戦前・戦中に厚い構成になっているので、一部中等學校野球マニアなら一読の価値があると思われる。個人的には読んでいるうちに「第一回大会の旅」で秋田高校に出かけて行ったことや「皆勤校めぐり」で関西学院と米騒動について調べたことなど、いろいろ思い出せて興味深かった(そんな人は世間にいません)。戦後編ではPL学園-中央(群馬)の一戦あたりが懐かしかった。全体としてなるほど朝日新聞の書きそうな、という印象もあるので、そのあたりでも好みが分かれるところかと思う。
(参考:『白球の世紀 高校野球100回秘史』朝日新聞出版/2019)
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