オールドファンは行く~春の選抜・壱岐

  • 仲本
    2025年03月21日 23:04 visibility83

「イ・キ・コウ!イ・キ・コウ!イ・キ・コウ!…」

頼みのエースが右に左に痛打を浴びて、すでにマウンドを下りている。

点差は5点に開いて、西に傾いた日は大きな影を作った。時折吹く風はむしろ冬を思わせる冷たさ。それでも一塁側アルプススタンドを埋めつくした応援団の意気は衰えず。7回の攻撃に向かう前、自然発生的にコールが沸き上がった。

 

 

(この春からお目見えの甲子園フォント。いい感じです) 

春の選抜高校野球3日目。第三試合は長崎・壱岐と兵庫・東洋大姫路の対戦となった。名門復活にかける東洋大姫路は秋の近畿を制して文句なしの選出。対する壱岐は21世紀枠での出場だが、秋の九州大会では1勝を挙げてベスト8に進んでおり、侮れない。

 

注目の立ち上がり。先攻・東洋大姫路は二死1,2塁からいい当たりのピッチャー返し、これをグラブでたたき落として一塁へ送球、スリーアウト。抜ければ1点、というところをゼロで切り抜けた。

 

後攻・壱岐は制球の定まらない東洋大姫路エース・阪下投手を攻めて2,3塁のチャンスを作ると、ゴロがしぶとく1,2塁間を抜けた。三塁走者に続いて二塁走者まで生還。2-0、試合序盤は壱岐のペースといってもよかった。

 

東洋大姫路は2回頭から早々と投手交代、立て直しを図る。これがまたいい投手で、ロングリリーフとなった終盤になっても140km後半の速球をきっちり決めてきた。

 

初回から壱岐・浦上投手の球をとらえてはいた東洋大姫路。打線は5回につながった。低反発バットとなってからというもの、こんなに長打が続くのを見るのは初めてかもしれない。3つのアウトをとるのがこんなに難しいとは…、と壱岐のナインは思っただろう。

 

今年の選抜大会出場校は32校。そのうち19校は、甲子園の通算成績で勝ち越している。甲子園の勝ち方を知っているチームが集う大会で、21世紀枠で出場したチームが劣勢を免れることは難しい。それでもリリーフが踏ん張って大崩れをしなかった。応援団は一投一打に声援を送り続けた。夢のようなこの試合を一球たりとも見逃すまい。そんな気持ちのこもった声だと感じた。

 

(壱岐高の旗、春風に翻る。)

 

なお、勝った東洋大姫路は二回戦、広島商と対戦する。観戦できそうにないが、これまたオールドファンにはたまらない組み合わせである。

 

 

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。