光星学院、史上初3季連続準V!悔しい!でもすごい…


閉会式を終えて、笑顔で引き揚げる(左から)田村、北條ら光星学院ナイン

 ◆第94回全国高校野球選手権大会最終日 ▽決勝 大阪桐蔭3─0光星学院(23日・甲子園) 史上3校目の3季連続決勝を戦った光星学院(青森)だったが、春夏連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)に0―3で敗戦した。史上初の3季連続準優勝で涙を飲んだ。先発したエース・金沢湧紀(3年)が4回に先制ソロを被弾。5回には失策から2点を失った。打線は、“ナニワのダル”こと藤浪晋太郎(3年)からわずか2安打しかできずに完封された。東北勢初の全国制覇を目指して全国から光星学院に集まった選手たちが挑んだ夢。達成はならなかったが、大きな宝物を手にして3年生19人は高校野球を卒業した。

 夢が、ついえた。9回2死一塁。5回に三ゴロを悪送球し、2点を献上していた三塁手の大杉諒暢(3年)が仲井宗基監督(42)から「打席を楽しめ!」と送り出された。大阪桐蔭の藤浪のストレートは衰えることを知らず、まだ150キロ台を連発。ファウルで粘った。しかし、7球目。152キロの直球にバットは空を切った。マウンドで喜びを爆発させる相手を尻目に、光星ナインはトボトボと整列に歩みを進めた。

 これが、“ナニワのダル”の実力か。「藤浪の気迫に押されて、手も足も出なかった」と、今大会、2本塁打の3番・田村龍弘主将(3年)。今春センバツ決勝で藤浪から12安打した光星打線だったが、リベンジをかけた再戦では、2回の6番・武田聖貴(3年)の遊安と9回の田村の中安のわずか2安打に抑えられた。

 今年の3年生19人は、仲井監督が初めて3年間、監督として指導した選手たち。言い換えれば、金沢成奉総監督(45)が監督時代に声をかけた最後の選手たちだ。「去年と今年で日本一のチームになれる確信があった」と金沢総監督は言う。中学時代から名を馳(は)せた田村、北條は、大阪に毎週通って口説き落とした。地元・八戸市で剛速球でならした金沢にも声をかけた。個性豊かな面々がそろった。

 それでいて、例年にない仲の良さを持ち合わせていた。5回の大杉の失策に対し、「チーム全体で戦っているから、エラーは気にしていない」と金沢がかばったように、誰も責める者はいなかった。記録員の斎藤裕貴(3年)は「家族といるとあきないじゃないですか。そんな感じです」。田村も「親子、あ、違う(笑い)、兄弟みたい」とボケながら仲間を表現。スターがいても、「何でも言い合える」(斎藤)関係が強さにもなった。

 仲井監督のことも好きだった。差し入れのアイスを選手より先に取っていったり、アップ中にムカデを追い掛けたりする「子どもっぽさがいい」(ある部員)。北條は「自分らと考えが何か合う。締めなアカンとこは締めて、メリハリがある」。昨秋の明治神宮大会優勝、今春センバツ準V、そして、2012年夏―。指揮官と選手の信頼関係も躍進につながった。

 全国の様々な地方から野球に懸けて八戸に集まった。全国制覇の夢はかなわなかったが、田村は言う。「自分は大阪人だけど、八戸に育ててもらった思いが強い。感謝してます。みんなと野球をやれてよかった」。八戸の地で出会った19人の絆(きずな)は、金メダル以上のもの。これから先、一生の宝物だ。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。