
救われたのは私
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ヤスオ
2009年04月05日 18:29 visibility31
車を持っていない私の移動手段と言えば、専ら電車。
特に予定がない日は必ずと言っていい程
電車に乗ってコトコト街まで遊びに出掛けます。
一年程前のことでしょうか、
その日、仕事が休みだった私は
やはり電車に乗って遊びに行こうと、
家から最寄りの駅に来ていました。
そして、改札を通る前にコーヒーが飲みたくなって、
近くの自動販売機で缶コーヒーを買い
切符売り場の前にあるベンチに座って、
のんびりコーヒーを味わっていました。
するとそこに、これから部活動の試合でもあるのか、
ジャージ姿の女子中学生がぞろぞろやって来て
私から少し離れた前方に、かたまって止まりました。
電車待ち?いや、まだ来ていない子を待っているのかな?
と考えながらも、特に気にするでもなくコーヒーを飲んでいると、
その中の一人の女の子が、20m程離れたところを歩いていた
同じジャージを着た男子中学生に向かって、笑いながら
「おいっ!」
と、大きな声で呼び掛けました。
呼び掛けられた男子中学生は笑いながら手を振って、
トイレの方に歩いて行ってしまいました。
次の瞬間、
「誰だ今、おいっ!ていった奴はよ!!」
と、若い男の怒鳴り声が聞こえてきました。
見ると、先程の男子中学生と、私の前にいる女子中学生の
中間あたりにいた二十歳過ぎくらいの青年が
怒りの表情で女子中学生の集団を睨みつけながら
歩み寄って行くところでした。
何事かと、しばらく様子を見ていると、
どうやら青年は、女子中学生が「おいっ!」と声を掛けたのが、
自分と一緒にいた中年の男性に対してだと思ったらしく、
どういうつもりかと、怒っている様でした。
ただの勘違いか・・・。
それなら、事情を説明すればすぐに解決するはず。
そう思って、特に何もせずにいたのですが、
女子中学生達は、青年の剣幕に押されて
何も言うことができず、
声を掛けた女の子を含めて、黙り込んでいました。
誰も名乗り出ないことにさらに腹を立てたのか、
青年はさらに声を荒げて、女子中学生達を怒鳴りつけていました。
中学生、それも女の子には、少し荷が重いかな・・・。
そう考えて私は、コーヒーをベンチに置いて
青年の方に歩いて行き声を掛けて
今見た一部始終を説明しました。
すると、青年は納得してくれたらしく、
中年の男性の方に戻って行きました。
内心ホッとしながら、ベンチに戻ろうとすると
青年が私に
「おいっ!」
と声を掛けました。
振り向くと、
「すまんっ!」
青年は私に向って言いました。
案外素直なものだと感心しながら、
ベンチに戻って、しばらくコーヒーを飲んでいると、
人数が揃ったのか、女子中学生の集団は
改札に向って歩き出しました。
私が青年に声を掛け、誤解を解いたのは
何か見返りを求めてのことではありません。
しかし、一言の礼もなく行こうとしている女子中学生達に対して
そのとき私は確かに、
失望というか、小さな苛立ちを感じていました。
なんだか気分が悪いな・・・。
そう思った時、集団から一人外れて
その場に残った女の子がいました。
それは、男子中学生に声を掛けた女の子でした。
女の子は、何かを言おうとしていたのですが、
少し躊躇して、結局なにも言わずに、
ただ一度、礼儀正しくきれいに
私に向ってお辞儀をして、
先を行く集団に走って行きました。
ただ、それだけです。
それだけでしたが、私の中にあった気分の悪さは
跡形もなく消えてしまいました。
そして、よくわからない温かい気持ちが、
胸一杯に広がっていました。
そのとき、お辞儀をしてくれた女の子に、
「ありがとう」と言いたくなったことを
今でもよく覚えています。。
て、サッカーがどこにも出て来てない!
実は、その女子中学生達はサッカー部だった!?
いや、良く覚えてないけど違うか・・・。
ボール!
ボールはどこだ〜い!!
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- 事務局に通報しました。
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