これって初恋？

小学生の頃、運動神経ゼロのぼくをサッカーに導いたのは

タルイくんだった。

タルイくんも実は運動神経悪く、ぼくと同類。でも体格がよく、責任感もあったので、学校体育では、キーパーとして一目置かれていた。

でもあくまでも一目だけ。クラスではぼくと同じカースト最下層で、プロレスごっことかではぼくと同類のやられ役だった。ぼくも体育ではキーパーだったので、キーパーズとのコンビ名で戦わされた。

生徒会長選挙とかもタルイとサカタのキーパーズが無理やり立候補させられ、落選の惨めさを味あわされたりもした。

タルイくんはサッカー部顧問のはまだ先生が担任になってから運命付けられた。本人の希望はなくとも、正キーパーとして迎えられたタルイくん。砂場で散々キーパー練習を重ね、飛ぶタルイくん。

ぼくはタルイくんのズタボロにされてもボールに向かっていく姿に惚れた。キーパーは赤の上下のライン付きイモジャーで、背中には［GK垂井］と縫い付けてある。ダサい！と思った。

でも、すぐに[GK男坂田]と縫いつけられたイモジャーを着る。イモジャーとGK はキーパーとしての覚悟のような気がする。

タルイくんとは白いブリーフが黒くなるまで練習した間柄。背番号1を競い合った小中高。今から思うとこれって初恋なのかなあ。