”影を買う店” 皆川博子著 河出書房新社
筆者の幻想短編小説21編。
「柘榴」が特に良かったかな。
女学校の雰囲気と戦争中のいつ死ぬか解らない極限にありながら
刹那的な甘美さと大胆さ、戦渦の炎の中で陶酔する姿に惑わされる。
また表題の「影を買う店」も何とも言えない不気味さがあって良い。
現時点で実体験で戦争を書ける作家はもう少ないし、
筆者の青春は戦争一色だと思うが、作品を書き出したのは戦後ダイブ経ってから。
今年90才と高齢なのにハイペースで作品を出し続ける頭脳と体力には驚かされるが、
本作のような短編集も良いと思った。
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