蛍の航跡

”蛍の航跡”  帚木蓬生著  新潮社
太平洋戦争に従軍した、15人の軍医の短編集。
シベリヤ、インパール、ニューギニア、フィリピンでの戦場。
 肉塊になった体や、マラリア、栄養失調、
  更に飛び交う砲弾や銃撃と闘う兵士たちへの医療活動。
 また前線部隊将校と本部将校との葛藤に巻き込まれ
  軍医が将校の精神鑑定をする場面さえある。
彼等が戦地で虚しく消えていく命をどのように見送ったか、
 食べ物や薬品等がない為、助けられなかった事をどんなに無念に思ったか、
生きていたらその後充実した人生を送っただろう同僚達の死をどんなに悼んだか、
 本著を読むと、無駄で非常識な戦争というものを考えずにいられない。

 

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