ファルセットの時間

”ファルセットの時間”  坂上秋成著  筑摩書房

筆者の作品は初読みだが良かった。

表題のファルセットとは、喉の使い方・コントロールを

 身に着ける技術であり、歌の技術をさらに習得するためにも

必要とされる重要なテクニック。

 歌声の美しい女装美女が物語の後半で

変声期を迎えて戸惑う様子を指している。

本作は、かつて女装をしていた34歳の会社員が

 たまたま見つけた16歳の女装美女とのお話。

その出会いから理想の女装像に惹かれ、

 複雑な想いや葛藤を描いてゆく物語。

似たような嗜好の存在を見つけ、気になって仕方ない男。

そこから始まった関係で感じる忘れていた思い。

 もう自分は女装をせず、仕事や家庭もあり、

同じようにはなれない現実。

自分にない美少女の若さに対する複雑な想いを抱え、

 けれどそんな自らの想いを認め、

折合いをつけてゆく男の姿が印象的。

 

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