水曜日の凱歌

”水曜日の凱歌”  乃南アサ著  新潮社

筆者の作品は久々だが、他作品とは一風変わっている。

戦後、特殊慰安施設の挺身隊の名のもとに

 防波堤として体を張った女達の生き様を軸に、

  当時の混乱した状態を14歳の少女の目で追った作品。

何故日本の男は女を守ってくれないのか?

 少女の問いは本質的で核心をつく。

日本の婦女子の純血を守るという大義名分ながら

 政府が作った特殊慰安施設協会は

  アメリカに媚を売る権力者の作戦に過ぎず、

 日本の男達が武士道を捨て、

  卑怯者に成り下がった歴史でもある。

非常に暗く、辛い悲劇だが、

 同時に逞しく生きる女性を描くことで

  痛快な作品に仕上がっている。

 

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