フットボールとの再会
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タレメーノ・カク
2020年10月25日 15:45 visibility401
タレメーノ・ユナイテッドの代表である私タレメーノ・カクは高校一年生の夏休み中にサッカー部を退部した。サッカー推薦で入っておきながらあっさり辞めたのである。
急性胃腸炎と医者に診断され入院先のベッドの上で決断したそれは、急なことではまったくなかった。
簡潔に述べれば、人間関係につまづいていたのだった。
中学の三年間といえばそんなことは微塵もなく、今思えば爽やかで明朗な非常に充実した時を仲間と過ごすことができ県選手権では優勝。中国大会で敗退し全国は逃したが、チームとしても個人としても控えめに言って出来過ぎの満足のゆくサッカー生活だった。
さて、進学した先ではイジリの範疇を超えたものが跋扈した。もちろんごく一部の人間の仕業ではあるが、その中心人物は私が小学生時代からサッカーを通じて良く知った同じ町内の人間の仕業で、必然だったか彼のターゲットに私がなったのだった。不運にも同じ科、同じクラスにもなってしまっていた。刑事事件に問えるような話ばかりを思い出す。私と同じ思いをした者の顔がはっきり浮かぶ。去った者達の気持ちが良くわかる。
かつて日本サッカー界のレジェンドを輩出した古豪。その看板すらも破壊した一部の異常者から派生した負の感情は日に日に取り巻きを増やしてゆき、グラウンドの内外、教室の内外、町の内外に及んだのだからこちらの頭がおかしくなるのも至極自然。誰が反論しえようか。お前のメンタルが弱かっただなんてどこのどいつも言ってくれるな。
そう、私のメンタルが弱かったのかもしれない。
他の強い誰かなら同じ結果にはならなったのかもしれない。
しかしながら、私は私の決断を今もなお支持している。世界が拓けた。感謝している。
一方で、サッカーとの別れはネガティブなものとなった。
タレメーノ・ユナイテッドの選手たちも様々にこれまでの人生でフットボールと関わってきているわけだ。皆のそれを私はまだ深くは知らないけれども、練習や試合を終えて「楽しかった」といわれると、このクラブを立ち上げて良かったなと素直に嬉しく思う。毎回、心底思う。
怪我でサッカーを断念せざるを得なかった者もいれば、競技としてのそれをやり切って今度はただひたすらにエンジョイしたいという者もいる。大人になって始めたという者もいたりして、高校時代の私には想像することすらできなかったであろう遊びへの無垢な思い。私は今いる仲間達にそれを思い出させてもらった。
そうだった。サッカーとはそもそも遊びだったのだ。
遊びが暗くてどうする。
遊びがつまんなくてどうする。
遊びが楽しくなくってどうする。
タレメーノ・ユナイテッドに加入してくれた選手達との新たな出会いは、フットボールとの再会となった。
鬼ごっこをするように走り、かくれんぼをするようにマークを外し、缶蹴りをするようにゴールを決めたい。
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