銅メダルかメダルなしか

  • 2012年08月09日 17:45 visibility62
■ さい配で負けたわけではない
 後半20分、ペラルタのシュートをキャッチしたGK権田修一(FC東京)からボランチの扇原貴宏(C大阪)に渡されたボールを狙っていたのはR・ヒメネスだった。あわてて持ち直したところを、FWペラルタが引っかけた。そしてペラルタのシュートがゴール左に突き刺さった。

 1点をリードすると、メキシコは自陣に引いて守備ブロックをつくったが、前線の2、3人には日本の守備ラインとボランチのところにプレッシャーをかけ続けるよう指示した。それが終盤になってからの日本の反撃をやりにくくさせ、逆にカウンターから1点を追加する力になった。

 関塚監督がテナ監督にさい配で負けたわけではない。コンディションは悪くはないと自信を持って送り出したチームが全体として「動きが重かった」という状態、そして後半なかばまで、とにかく1−1の同点だったという状況が、関塚監督の選手交代を遅らせ、結果として相手の戦略にはまる形となってしまったのだ。
■ 銅メダルかメダルなしか
 さて、3位決定戦に回る日本だが、相手が韓国ということで、モチベーションを新たにして臨んでくれるのではないか。

「試合が終わった直後、選手たちは落胆していたが、もう1試合あるので、そこに向けてメンタルとフィジカルの両面でコンディションを整え、みんなで戦っていきたい」と、関塚監督は言葉を結んだ。

「敗退」と報じたメディアもあるかもしれないが、負けて終わったわけではない。まだ価値ある試合は続く。五輪の準決勝敗戦は、銅メダルかメダルなしか、大きな違いが生まれる試合。ただの「3位決定戦」ではないのだ。

 あと90分間戦えば、準備期間からちょうど1カ月間になったこの長い戦いも終わる。そして2010年秋にアジア大会(中国・広州)を目指してスタートしたチームは、そこで歴史を閉じる。五輪に入って見せた攻守一体の見事なサッカー、前線からの守備をベースにした戦いと、それをやり抜くことでつかんだ自信をもういちど実現し、23歳以下で参加するようになって初めての五輪のメダルを日本に持ち帰ってほしいと思う。

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