
「厄介な選手」とフォッシュに言わせた添田
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舞
2012年08月29日 12:19 visibility59
添田がフィッシュに敗れることそのものは、ランキング的にも実績的にもいわば順当な結果でしかない。しかし、添田は随所に鋭い動きを見せ、フィッシュを相手に1本のチャンスを奪い合うところまで追いつめて見せた。結果として3セットとも相手の経験が勝る形で持って行かれてしまったが、試合後のフィッシュは、もっと楽勝できたんじゃないかという質問を明確に否定し、「彼はいわゆる厄介な選手。フラットに打ってきて、とてつもなく素早く動く。バックハンドが素晴らしく、サービスはクイックモーションで、飛んで来るボールは常にとても速くて低いから、ベースラインでの勝負ではとてもタフだった」とし、苦戦の理由も「彼がいいプレーをしたから」と話している。フィッシュの率直な性格や、試合中の険しい表情を思い出せば、この言葉はほぼ正直な彼の感想として聞いていい。
添田は、地元の期待を背負ったトップ10クラスの選手を相手に、旧センターコートという大きな舞台で「今日は自分のプレーが全部出せた」と話しているのだが、これも彼の成長を感じさせる一言だった。
昨年の全仏オープン以来、グランドスラムの本戦に出続けてきた経験の蓄積が、彼に自信を与えていればこそ、フィッシュを相手にしても「もちろん勝つつもりでしたが、基本的には無心の状態」で戦えたのだろうと思う。
そして添田もまた、伊藤と同じく自分の底力を上げなければいけない、上げて行きたいと話していた。それは「ずっとこの舞台にいたい」から。添田の偽らざる本音だろう。
錦織は彼らのはるか先を走っている。今の錦織のポジションは、グランドスラムであれば、ベスト8以上に勝ち残らなければ、今より上には行けないというレベルであり、そのライバルは正真正銘、世界のトップ選手たちになっている。
添田や伊藤も、最初の内はただ錦織の背中を追いかけているような感覚だったかもしれないが、今回の彼らを見ていると、錦織が何を追いかけているのかについて、彼らも錦織と同じ感覚を持ち始めているのではなかろうかと感じる。今回、初めて同じ舞台に立った守屋もまた、彼らの身近に居続けることができれば、すぐに同じことを感じるようになるはずだ。
グランドスラムを戦う本物のテニス選手としての自覚と成長。この1回戦はそのスタート地点になるような予感がする。
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