目標達成に集中するブロヒン監督

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    2012年02月28日 09:41 visibility98
オレフ・ブロヒン監督はウクライナに失われていた自信をもたらしたが、
代表の最終メンバーに入るのは決して簡単ではないと強調し、
「美しい目をしているからという理由で、選手を招集したりはしない」と語った。


いつも通り威厳を保ちながらUEFAの代表戦100試合出場記念キャップと
メダルを受け取るオレフ・ブロヒン監督©Olexandr Zadiraka

現役時代、ウクライナのオレフ・ブロヒン監督は才能に恵まれた選手だったが、

トップレベルで成功するために必要なものは能力だけではない。

勝利への意欲や献身的な姿勢、向上心もカギとなる。

代表チームの指揮官として、ブロヒン監督は今、

選手たちにそのことを伝えようとしている。

そして、それゆえに、ウクライナ・サッカー協会(FFU)の幹部が指摘するように、

監督は現状に「決して満足していない」。

先週21日、FFUはブロヒン監督との契約を

2014年FIFAワールドカップ予選終了時まで延長した。

監督はこれを喜んでいたかもしれないが、笑顔はまず見せなかっただろう。

「ブロヒン監督は決して満足しきってはいない」と、

FFUのグリゴリー・スルキス会長は言う。

「しかし、彼は根が楽観的だ」。59歳の指揮官は、UEFA EURO 2012を

共催するウクライナの大会での展望について何も約束はしていない。

しかし、旧ソ連代表選手として最も多くのタイトルを手にし、

ウクライナ代表監督としてこれまでに最も成功を収めているだけに、

勝者のメンタリティーは身についている。

ブロヒン監督がウクライナ代表を指揮するのは、今回で2度目だ。

最初に就任したのは、チームが伸び悩んでいた2003年12月のことだった。

ウクライナは1998年FIFAワールドカップ、UEFA EURO 2000、

そして2002年FIFAワールドカップでプレーオフ進出を果たしたものの、

いずれも最後のハードルを越えられず、本大会出場を逃していた。

そしてUEFA EURO 2004予選で無残に敗退すると、

この「あと一歩のチーム」の成功を信じる者はほとんどいなくなった。

そのため、ブロヒン監督が最初の就任会見で「グループ首位で

2006年ワールドカップ予選を突破する」と約束したとき、

その言葉を誰もが真に受けたわけではなかった。

しかし、ブロヒン監督はウクライナを本大会出場、そしてベスト8へと導くことに成功。

準々決勝では大会覇者となるイタリアに敗れた。

ブロヒン監督は運が良かっただけだと信じていた者は、

次のUEFA EURO 2008予選でウクライナが予選敗退に終わったことを指摘した。

しかし、同じグループには当時の世界王者イタリアと、

そのイタリアとワールドカップ決勝で戦ったフランスの両方が入っていただけに、

予選突破はどうあがいても厳しかっただろう。ブロヒン監督はチームを去り、

FCディナモ・モスクワを指揮。だが、3年半の歳月と

もう一つのワールドカップ予選プレーオフ敗退を経て、FFUに再度招へいされた。

2度目の就任後、ブロヒン監督が真っ先に着手したことの一つが、失敗の意識、

そして国民やメディアの非現実的な期待によって選手たちにかかっていた

プレッシャーを緩和することだった。「もちろん、我々はEURO 2012で優勝したい。

だが、同じ目標を持っているチームがほかに少なくとも10チームはある」

とブロヒン監督は語った。

「我々の最優先課題は、決勝トーナメント進出だ。その先のことは後で考えるとしよう」。

グループステージ組み合わせ抽選でウクライナがイングランド、フランス、

スウェーデンと同じグループDに入ってもブロヒン監督は揺らがなかった。

「我々の目標に変わりはない」

現役時代に多大な成功を収めたブロヒン監督は、劣等感など持ち合わせていない。

FCディナモ・キエフで活躍した1975年のバロンドール(欧州年間最優秀選手)は、

旧ソ連1部リーグで7回、USSRカップで5回、UEFAカップウィナーズカップで2回、

さらにUEFAスーパーカップで1回の優勝を経験。

旧ソ連代表でも同国史上最多の112試合42得点を記録しており、

選手として最大級の評価を受けている。

そして1997年、当時若手の一人に過ぎなかったアンドリー・シェフチェンコが、

欧州屈指の名選手に成長すると予言したのもブロヒン監督だった。

それから7年後、やはりバロンドールに輝いたシェフチェンコは、

自身の成長に極めて大きく寄与したブロヒン監督に今でも感謝している。

「ブロヒン監督のメッセージは絶対に忘れない」。

かつてACミランで活躍したベテランFWは、最近のインタビューでこのように語った。

「2004年に僕が認められたのも、ブロヒン監督率いる

ウクライナ代表の成功が最大の理由だった」

ウクライナ・サッカー界に大きな足跡を残すこの二人の名手は、

UEFA EURO 2012での成功という同じ夢の下に再び手を取り合っている。

それでもブロヒン監督は、

過去の実績ではなく純粋な実力が判断基準になると主張した。

「美しい目をしているからという理由で、選手を招集したりはしない。

チームに必要なのは祖国のために戦う準備が出来ている選手だけだ」。

さらにブロヒン監督は、主力FWのアルテム・ミレフスキーと

アンドリー・ボロニンも最終メンバー入りが決まった訳ではないと強調した。

「代表に選ばれる者は、この国で最も力のある選手でなければならない。

しかし現時点では、両選手ともポテンシャルを十分に発揮しているとは言い難い」

とブロヒン監督は続けた。

「その状況が変わらない限り、2人がUEFA EURO 2012本大会のメンバーに

選ばれる保証はない。私は名前で選手を判断しないからね」。

近年の歴史が示すように、ウクライナ代表でのプレーには

多くが求められることになりそうだが、

最も厳しく要求しているのがブロヒン監督かもしれない。彼が満足していないのも当然だ。

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