EURO出場チームの合宿レポート
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2012年05月28日 09:28 visibility189
UEFA EURO 2012開幕まであと2週間ほどとなり、ポーランドとウクライナで共催される本大会に向けて興奮が高まっている。今週は多くの選手が大会前最後の調整を行うチームに合流。UEFA.comでは各チームの合宿地に記者を送り、合宿地での最新情報を伝えてもらう。
ポーランド(アレックス・オヘンリー)
現在、共催国ポーランドで最も懸念されているのはダミアン・ペルキス(28)だ。3月に肘を骨折したFCソショー・モンベリアールのCBについて、フィットネスコーチのレミキス・ルゼプカ氏も24日、6月8日のUEFA EURO 2012初戦のギリシャ戦に間に合うかどうかは、時間との戦いになると認めた。「ダミアンが100%回復するのか、我々には分からない」と語ったルゼプカ氏はまた、ペルキスには27日に最終メンバーが確定する前に合宿を離脱する意志がないことを肯定。体調が許せば、27日の調整試合スロバキア戦に出場することになるという。
ウクライナ(ボリス・ポポフ)
チームは24日にトルコでの第1次キャンプから母国に帰還した。ハードな練習を選手たちに課す他国の数チームとは対照的に、オレグ・ブロヒン監督には別のアイデアがあるようだ。チームメートや訪問した家族と過ごす時間を設け、クラブでのシーズンのあと、選手たちが疲労から回復できるよう、スケジュールを組んでいる。
キャンプで行われたトルコ・スーパーリグのアンタルヤスポルの控え選手たちとの親善試合は、16-1でウクライナが大勝。とはいえ、選手たちには気を緩めるつもりはないようだ。監督にとっての朗報は全選手が体調万全なことだが、ルスラン・ロタンだけは足首の故障でこの試合に参加していない。24日の夜をキエフで過ごしたあと、チームは翌日、第2次キャンプ地のオーストリアに出発する。
クロアチア(エルビル・イスラモビッチ)
25日の調整試合エストニア戦を控え、スラベン・ビリッチ監督(43)は、その試合はサプライズに溢れているだろうとマスコミに警告した。「先発メンバーには絶対、驚くはずだ」と監督は言う。「ポズナニでの初戦、アイルランド戦でプレーするチームではないよ。25日はまだチームに席を確保しなければいけない選手たちが出場する。彼らにチャンスを与えるつもりだよ」
オリンピック・リヨンのDFデヤン・ロブレンも最終的にチームに加わることになり、大会までに足の負傷が治ることが期待されている。「多くのことがデヤンの回復状態と、新たなケガ人が出るか出ないかにかかっている」とビリッチ監督。「彼のケガは深刻なものだが、まだ結論を急ぐことはない」。24日には、UEFAチャンピオンズリーグ決勝に所属先チームが出場したイビツァ・オリッチとダニエル・プラニッチも合流し、27人の招集メンバー全員が揃うことになっている。
ロシア(リヒャルト・ファン・ポールトフリート)
FCロコモティフ・モスクワのSBロマン・シシュキン(25)が腹部の不調で24日にメンバーから外れ、これで守備での離脱者は2名となった。20日にはワシリー・ベレズツキも太ももの負傷で離脱しているが、ディック・アドフォカート監督に焦りはない。「こういうことがあるから26名選んだのだ。これで去るのはあと一人ということになった。その1名は明日決めたい」。3試合の調整試合を予定しているロシアは、25日夜にまずモスクワでウルグアイと対戦。控え選手にとっては、これが最後のアピールチャンスとなる。アドフォカート監督はこの試合の終了後に最終メンバーを発表する予定だ。
アイルランド(ガリー・ドイル)
ジョバンニ・トラパットーニ監督は、人としても、指導者としても、選手を甘やかすタイプではない。しかしポーランドへのアイルランド代表の出発に備え、百戦錬磨のイタリア人指揮官は慎重に事を進めている。というのも、監督が選んだ23人のメンバーのうち、7名は何らかの負傷を抱えているからだ。その中でも最も気がかりなのが、GKシェイ・ギブンとDFジョン・オシェイの状態で、アストン・ビラの守護神を務めるギブンは21日の練習でひざを負傷。24日はロンドンで専門医の診察を受けたあと、夕刻にキャンプ地に戻ってくる予定だ。トラパットーニ監督は、「本大会には間に合うだろう」としながらも、「ボスニア(・ヘルツェゴビナ)戦に出すような真似をしたら、私は大ばか者だ」と語っている。そのため、26日の試合ではギブンに代わりケイレン・ウェストウッドがゴールを守ることになりそうだ。オシェイ(足首)、リチャード・ダン(腹部)、ロビー・キーン(ハムストリング)、シェーン・ロング(背中)、ジョン・ウォルタース(ひざ)、キース・アンドリュース(筋肉系の不調)の6選手も、26日の親善試合には出場が微妙な情勢となっている。
ドイツ(シュテファン・ポッター)
FCバイエルン・ミュンヘンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝敗退と、これがUEFA EURO 2012本大会でのドイツ代表の成績に与える影響に関する話題は、ドイツのメディアをいまだに賑わせている。「26日夜、バイエルンの8選手が、悔しさを胸にキャンプ地に到着する」と、ビルト紙の記事は伝えている。「気分はどうだろう? 最悪に決まっている! とりわけ、(UCL決勝での)PK失敗を見たあとには、バスティアン・シュバインシュタイガーが我々を欧州王座に導く姿はとても想像できない」。ビルト紙はさらに、ヨアヒム・レーブ監督にとって、代表メンバー全員が揃う練習日が正味5日しかない点も指摘している。
メディアの報道は悲観的かもしれないが、キャンプ地にはF1ドライバーのミヒャエル・シューマッハーとニコ・ロズベルグの両氏が訪れ、チームを激励。さらに代表メンバーを乗せてのデモ走行を披露した。バイヤー04レバークーゼン所属のFWアンドレ・シュールレは、「一流ドライバーの運転を間近で見られたのはとても興味深かった。車の扱い方が僕たちとは別レベルなんだ」と感激を語っている。
ギリシャ(バシリキ・パパントノプル)
22日にキャンプ地キッツビュールに到着して以来、チームは連日2部練習と、まさに休むことなく調整が進行中だ。フェルナンド・サントス監督にも牧歌的な景色を堪能する暇はなく、20日まで所属クラブで活動していた選手も含め、25名の選手のコンディションを良好に保つことに専念している。GKコスタス・ハルキアスは次のように話した。「僕らには時間がない。この準備期間を有効に使わなければならないから、練習時間も長くなっている」
唯一、別メニューで練習しているのは、鼠蹊(そけい)部を負傷しているFCシャルケ04のキリアコス・パパドプロス(20)。週末までには全体練習に参加できると見られているが、26日にクーフシュタインで行われるスロベニアとの親善試合は欠場する。
デンマーク(トーマス・マーク)
FCノアシェランが初のリーグ優勝を果たすという劇的なフィナーレでシーズンが終了し、今はすべての注目が代表チームに集まっている。暫定メンバー発表の時点では、3名分の空席を残していたモアテン・オルセン監督だが、19日にGKアンデルス・リンデゴールを招集。さらに24日、FCノアシェランのヨレス・オコレとFCフローニンヘンのニクラス・ペデルセンを追加し、最終メンバーを確定させた。
優勝を祝ったばかりのノアシェランの3名、トビアス・ミケルセン、アンドレアス・ビェラン、そしてオコレのために、24日の練習は午後に変更。全員が揃ったところで、5月26日にハンブルクで行われるブラジルとの親善試合に向けて準備を開始することになる。
フランス(マシュー・スピロ)
24日に国内組がクレールフォンテーヌに到着し、いよいよ本格的に準備がスタート。フランスのシーズン終了が遅かったために、あとからの合流となったこの14名のうちの一人、パリ・サンジェルマンFCのMFジェレミ・メネズは、2004年にUEFA U-17欧州選手権で共に優勝を経験したサミル・ナスリ、カリム・ベンゼマ、そしてアテム・ベン・アルファと初めて代表で一緒になる。ナスリは再び4人でプレーできることに、「当時、いつかA代表で一緒にプレーできるかもと話していたんだ。これで夢がかなうよ」と喜びを示した。まだチームに合流していないのはFCバイエルン・ミュンヘンのフランク・リベリのみ。一方、太ももを負傷しているロイク・レミは、6月11日のイングランドとの本大会初戦までに回復できると自信を示している。
チェコ(オンジェイ・ズラマル)
UEFAチャンピオンズリーグ優勝を果たしたチェルシーFCのGKペトル・チェフが、ようやくオーストリアのバート・バルタースドルフでの合宿に合流。オーストリアの下部リーグ所属の地元チームとの練習試合後半に到着し、大歓迎を受けた。試合はチェコが7-1で大勝している。「日が経つごとに優勝の喜びを実感できるようになったけれど、今はEUROが控えている。もう現実に戻ったよ」とチェフ。「この準備がいい結果につながることを願っている」
ミハル・ビーレク監督が心配しているのは、ふくらはぎの負傷から回復途中の司令塔トマーシュ・ロシツキーの状態だ。6月1日にプラハで行われるハンガリーとの大会前最後の調整試合までに復帰してくれることを期待している。
イタリア(リチャード・エイクマン)
32名のEURO出場暫定メンバーが、イタリア代表の本拠地コベルチャーノでチェーザレ・プランデッリ監督の信頼を得ようと懸命になっている。マンチェスター・シティーFCのFWマリオ・バロテッリも、ポーランドとウクライナでの本大会行きを切望。「アズーリ(イタリア代表の愛称)のユニフォームを着ることが僕のすべてだ」と語った。「僕も勝つチームでサッカーを楽しめるところを見せたい。サッカー選手にとって、このような大会に出場できることは最高の幸せだ。胸がいっぱいになる」
イタリアのマスコミは、プランデッリ監督がアントニオ・ディ・ナターレとセバスティアン・ジョビンコに前線でコンビを組ませようと考えていると報道。また、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙は、「キエッリーニ、スペイン戦に照準」として、負傷したCBジョルジョ・キエッリーニが王者スペインとの初戦までに回復するとの見解を示している。
オランダ(ベレント・ショルテン)
FCバイエルン・ミュンヘンとの親善試合に2-3で敗れたオランダ代表チームは、キャンプ地のローザンヌに帰還。バイエルン戦に欠場したマルク・ファン・ボメル、グレゴリー・ファン・デル・ビール、ヨン・ハイティンハ、ロビン・ファン・ペルシの4選手はキャンプ地に残り、激しいトレーニングで調子を上げている。しかしベルト・ファン・マルバイク監督(60)は、調整のために行われた22日のバイエルン戦の出来には不満の様子だ。「うちの2ゴールは両方ともいい形だったが、集中力を高く保っていれば、もっと点が入ったはずだ。せっかくのチャンスを逃した上、中盤は時として規律を欠いていた」
その中盤が24日、早速強化された。まずはスポルティング・リスボン所属のスタイン・スハールスが、ポルトガル・カップ決勝を終えて代表チームに合流。また、アリエン・ロッベンも明日には合流の予定だ。一方、所属先のFCバルセロナが25日にスペイン国王杯決勝を控えているイブラヒム・アフェライは、28日から代表チームに加わる見通しだ。
スペイン(グレアム・ハンター)
オーストリアはラ・ロハ(スペイン代表チームの愛称)にとって験のいい場所だ。UEFA EURO 2008では欧州王者の栄光をつかんだ地であり、それから2年後のFIFAワールドカップ南アフリカ大会でも、事前キャンプにこの国を選び、見事に世界王者になっている。そしてビセンテ・デル・ボスケ監督率いる代表チームは今回もオーストリアのスキーリゾート、シュルンスの町をキャンプ地とした。キャンプでのもっぱらの話題は、ダビド・ビジャがEURO出場を断念すると発表した一件だ。サンティ・カソルラも「彼がいなければ、2冠は達成できなかったはず」と、ビジャの欠場の痛手を認める。一方、アンドレス・イニエスタはこの離脱を前向きに受け止めようとしていた。「ダビドらしい、正直で勇敢な行動だよ。自ら手を挙げて、チームメートにポジションを譲ったわけだからね」
ポルトガル(アンディー・ブラッセル)
慌ただしい1日を経て、24日にSCブラガのウーゴ・ビアナがポルトガルのUEFA EURO 2012代表チームに合流した。グラナダCF所属のMFカルロス・マルティンスの負傷により、パウロ・ベント監督から急遽招集を受けた形だが、これはビアナ自身にとっても意外だったようだ。オ・ジョーゴ紙によれば、家族とテネリフェで休暇を過ごしていたビアナは、妻と子供たちの荷造りを手伝ったのち、ポルトへ戻る飛行機でとんぼ返りを果たしたという。ビアナは今日の午後、オビドス市立競技場で行われる合流後初のチーム練習に参加したあと、監督と共に記者会見に臨む予定だ。
スウェーデン(スヤイ・ダット)
エリック・ハムレン監督は24日午後、バルト海に浮かぶゴットランド島のキャンプ地に代表選手を迎える。ただしアンデルス・スベンソン、トビアス・ハイセン、クリスティアン・ビルヘルムソンの3選手は、所属クラブの予定がまだ残っているため、1日遅れで到着予定。AZアルクマールのラスムス・エルムは初日から練習には参加するが、兄のダビドの結婚式に出席するため、26日は許可を得てキャンプを離脱することになっている。一方ストックホルムからゴットランド島に向かった選手の間では、22日にスカイウェイズ航空が突然、倒産したあおりを食らい、急遽予約便の変更を迫られるケースも。しかし主将のズラタン・イブラヒモビッチはこの件にも影響を受けず、相変わらずメディアの注目を一身に浴びている。キャンプ地の地元紙ゴットランド・ティドニンガーの見出しは「ズラタン、本日午後到着」だった。
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