ユーロ2020に出場の、注目すべき若手代表サッカー選手10選 access_time2021/06/26 17:00 FOOTBALL TRIBE
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2021年06月26日 21:03 visibility350
新型コロナウイルスの影響で1年ほど延期となり、満を辞して6月11日に開幕した16回目のUEFA欧州選手権「UEFA EURO 2020(ユーロ2020)」。日本時間27日午前1時に行われるウェールズ代表対デンマーク代表の一戦から、いよいよ決勝トーナメントがスタートする。
ヨーロッパ最強国を決める同大会に進出したのは24カ国の欧州代表チームで、うち16チームがグループステージを突破した。決勝トーナメントの組み合わせ、対戦日程は下記の通り。イタリア代表、ベルギー代表、オランダ代表、が開始からここまで全勝となっているが、ここからは一回戦勝負となり決勝まで残るチームを予測するのはかなり難しい。
ユーロ2020、決勝トーナメント組み合わせ&日程(日本時間)
6月27日(日)1:00:ウェールズ vs デンマーク
6月27日(日)4:00:イタリア vs オーストリア
6月28日(月)1:00:オランダ vs チェコ
6月28日(月)4:00:ベルギー vs ポルトガル
6月29日(火)1:00:クロアチア vs スペイン
6月29日(火)4:00:フランス vs スイス
6月30日(水)1:00:イングランド vs ドイツ
6月30日(水)4:00:スウェーデン vs ウクライナ
そんな世界が熱狂する重要な大会、ユーロ2020に出場中の選手の中から、ここでは注目すべき若手選手10人を紹介したい。決勝トーナメントに進出し優勝を狙うチームでこの後目撃できる選手は多い。グループステージは既に敗退も今後の活躍が楽しみな選手も含まれる。
ジュード・ベリンガム 17歳・イングランド代表(決勝トーナメント進出)
2020/21シーズンのブンデスリーガ、あるいはチャンピオンズリーグ(CL)を観戦した人は、ボルシア・ドルトムント所属のMFジュード・ベリンガムをはすでに知っていることだろう。ドリブルもボール奪取も得意とし、守備的にも攻撃的にもチームの支えとなる選手である。
EFLチャンピオンシップ(イングランド2部)バーミンガム・シティでデビューを果たし、2020年7月にドルトムントと2025年までの5年契約を交わしたベリンガム。その移籍金は2500万ポンド(約35億円)に上り、17歳として史上最高額となった。ドルトムントではレギュラーで活躍。2020年10月20日に行われたCL第1節ラツィオ戦でイングランド史上最年少となるCL出場を果たし、準々決勝のマンチェスター・シティ戦(2021年4月14日)で1得点を記録している。
ユーロ2020ではイングランド代表として、わずか8分ながらグループD第1節クロアチア戦に出場。これにより同大会史上最年少出場選手となった。第3節チェコ戦でも途中出場を果たしている。
ジェレミー・ドク 19歳・ベルギー代表(決勝トーナメント進出)
ベルギー代表は平均年齢が29.2歳とユーロ2020でも最も高く、ベテランが揃っているチームである。そんな中で話題となっている若手選手が、リーグ・アン(フランス1部)スタッド・レンヌ所属のFWジェレミー・ドクだ。
両サイドでプレーできるウイングであり、現時点そこまで高い得点力はないものの、突破力とドリブルのスキルがピカイチな選手である。2020/21シーズンにはリーグ戦30試合に出場し、リーグ・アンの多くのディフェンダーを混乱させた。
代表経験としては、2020年9月5日に開催されたUEFAネーションズリーグ(リーグA)デンマーク戦でデビューし、その3日後のアイスランド戦で1得点を記録(5-1でベルギーの勝利)。ここまで代表9試合に出場し、ユーロ2020のグループB最終節となったフィンランド戦で同大会デビューを果たしている。決勝トーナメントでの活躍が楽しみだ。
ヌーノ・メンデス 19歳・ポルトガル代表(決勝トーナメント進出)
サイドバックの実力だけを考えると、ポルトガル代表はトップクラスだ。特に新型コロナウイルスに感染しユーロ2020出場を逃したシティ所属DFジョアン・カンセロ、2020/21ブンデスリーガで5得点11アシストを記録したドルトムント所属DFラファエル・ゲレイロは、どのチームもがサイドに欲しいと思う選手だろう。しかし、この2人以外にも期待されている若手選手がいる。スポルティングCPのユースで育ち、2020年からトップチームの重要な戦力となったDFヌーノ・メンデスである。
守備力、攻撃力、スピードと、サイドバックに必要なクオリティはもちろん揃うことながら、メンデスの武器は素晴らしいゲームビジョン、そして優れたパス力にある。攻撃時には相手ペナルティエリアまで上がらずとも、相手DFの背後を狙おうとする仲間FWの動きを見逃さず、低い位置からの縦パスも多く出す。
残念ながらポルトガル代表としてユーロ2020には未だ出場ならず。6月15日に行われたグループF第1節ハンガリー戦ではベンチ入り。また、左腿の負傷により、その後のドイツ戦とフランス戦はメンバー外となった。今後の決勝トーナメントでは出場機会に恵まれるだろうか?
アダム・フロジェク
18歳・チェコ代表(決勝トーナメント進出)
スパルタ・プラハに所属するFWアダム・フロジェクの才能は計り知れないものがある。2020/21フォルトゥナ・リーガ(チェコ1部)では中足骨の骨折で4ヶ月ほど試合を欠場したにもかかわらず、15ゴール(8アシスト)を記録し得点王までに輝いた。
その活躍を目の当たりにしたチェコ代表ヤロスラフ・シハビー監督は、欧州5大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ・アン)経験がない若手選手であることを差し置いて、フロジェクをユーロ2020メンバーに選出したのである。
ユーロ2020では3試合中3得点を挙げたパトリック・シックという欠かせないセンターフォワードがいる中、フロジェクも3戦共に途中出場を果たし、欧州ビッグクラブにしっかりアピールしてきている。決勝トーナメントで1得点さえ挙げることができれば連続ゴールが期待できそうだ。
ユリエン・ティンバー 20歳・オランダ代表(決勝トーナメント進出)
アヤックス所属のDFユリエン・ティンバーは、2021年に入ってから力を発揮し始めた。2020/21シーズン後半に同オランダクラブのレギュラーの座を勝ち取り、ディフェンスラインの責任を持つセンターバックとして安定した活躍を見せた。
しかし、ユーロ2020のような重要な大会でオランダ代表に選ばれたのは、運も味方したと言っていいだろう。リバプール所属DFフィルジル・ファン・ダイクの右膝重傷、ユベントス所属DFマタイス・デ・リフトの筋肉トラブルなどもあり、同大会前の練習試合(6月3日スコットランド戦、6月7日ジョージア戦)でスタメン出場を果たし、好パフォーマンスを見せることができた。
ユーロ2020では、代表経験のあるブライトン所属DFジョエル・フェルトマンやマンチェスター・シティ所属DFナタン・アケを上回る監督からの期待を受け、グループCの3戦中2戦(第1節ウクライナ戦、第3節北マケドニア戦)で出場を果たす。今後も活躍が期待できそうだ。
ビリー・ギルモア 20歳・スコットランド代表(グループステージ敗退)
チェルシー所属のMFビリー・ギルモアは、紛れもなくスコットランド代表選手の中で最も伸びしろがある選手である。ボールを運びチャンスを作ることもでき、90分フルパワーで動き回るスタミナも持つ。
しかし、2020/21シーズンは2つの理由で出場機会が少なかった。1つ目は2020年7月に行われたクリスタル・パレス戦で膝を痛め、プレシーズンに参加できず12月まで試合に出場できなかったこと。2つ目はチェルシーにはエンゴロ・カンテ、ジョルジーニョ、マテオ・コバチッチのようなスター選手が揃っていて、スタメン争いになかなか参加できなかったことだ。
にもかかわらず、スコットランド代表スティーブ・クラーク監督はギルモアのポテンシャルを見抜き、6月3日と7日に行われた練習試合、オランダ戦とルクセンブルク戦で選抜。そのままユーロ2020にも連れて行くことを判断した。Dグループ第2戦となったイングランド戦でフル出場を果たしたものの、試合後に新型コロナウイルスの検査で陽性となり、第3節クロアチア戦を欠場。残念ながらスコットランド代表はグループステージを突破できず、同大会で彼の活躍を見ることはもうできない。
イーサン・アンパドゥ 20歳・ウェールズ代表(決勝トーナメント進出)
ウェールズ代表は、ライアン・ギグスが監督となってから(2018年1月)ほとんど同じ[5-2-3]システムで戦ってきた。その中で2人目のボランチ、またはセンターバックとして素晴らしいパフォーマンスを見せてきたのが、2020/21シーズン中にチェルシーからシェフィールド・ ユナイテッドにレンタル加入したDFイーサン・アンパドゥである。
しかしながら、ユーロ2020が始まってからギグス監督は戦略を変更。グループA第1節スイス戦で[4-3-3]に切り替え、第2節のトルコ戦と第3節のイタリア戦では[4-1-4-1]と[3-4-3]を使用した。システムに慣れてないアンパドゥは1戦目と2戦目に途中出場、3戦目で3バックの真ん中のポジションを任されたものの、55分にレッドカードで退場した。
ウェールズ代表はグループステージを勝ち進み、一発勝負である決勝トーナメントでは得意の[5-2-3]にシステムを戻すと予測されている。アンパドゥは退場によってラウンド16には出場できないが、ウェールズ代表が勝ち進めさえすれば再びこの大きな舞台での活躍を見ることができるだろう。
ジャコモ・ラスパドーリ 21歳・イタリア代表(決勝トーナメント進出)
サッスオーロ所属のFWジャコモ・ラスパドーリがイタリア代表に選ばれた時には多くの人が驚いた。同選手が2020/21シーズン中にセリエAでレギュラーになれたのは終了前の数試合のみで、シーズン全体を振り返っても6得点しか記録していない。
イタリア代表には、経験豊富なストライカーのチーロ・インモービレ(ラツィオ所属)とアンドレア・ベロッティ(トリノ所属)が欠かせない存在だ。他にはラスパドーリと同じ21歳でありながら、ユベントス、エバートン、パリ・サンジェルマンでのプレー経験を持つモイーズ・キーンが選ばれると思われた中、ロベルト・マンチーニ監督はラスパドーリを選抜した。
おそらくその理由は、同監督が狙うポゼッションを中心にしたサッカーにある。ラスパドーリが所属しているサッスオーロのサッカースタイルは、イタリア代表に似ている。ラスパドーリはインモービレとベロッティのようにディフェンダーの裏を狙うスキルも持ち、パス成功率も非常に高い。相手チームのディフェンスラインを崩す方法を考えながらボールを回したい場面では、役立つのであろう。しかしユーロ2020現時点での出場は、すでに決勝トーナメント進出が決まってからのグループA第3節ウェールズ戦の15分のみとなっている。
アレクサンデル・イサク 21歳・スウェーデン代表(決勝トーナメント進出)
今年のユーロ2020の目玉となる若手FWは、間違いなくレアル・ソシエダ所属のアレクサンデル・イサクである。190cmの身長とレベルの高い技術の持ち主であり、多くの人は同選手をミランのFWズラタン・イブラヒモビッチに例えている。
しかし、2020/21ラ・リーガで17得点を記録したイサクは、ミランのストライカーとはプレーが異なる。センターフォワードでありながら左サイドに寄り、そこからクロスを挙げたり、中に絞って縦パスを出したりすることも好む。また、イブラヒモビッチと違ってポストプレーを武器としていないが、凄まじいスピードの持ち主であり、スルーパスも得意だ。
ユーロ2020では3戦ともスタメン出場を果たし、グループE第3節ポーランド戦(3-2でスウェーデンの勝利)でRBライプツィヒ所属FWエミル・フォルスベリに1得点目のアシストをした。
ミコラ・シャパレンコ
22歳・ウクライナ代表(決勝トーナメント進出)
ウクライナ代表のディナモ・キエフ所属MFミコラ・シャパレンコも、大きく注目されている若手選手の一人である。
シャパレンコは2020/21シーズン中にディナモ・キエフで、ウクライナ・プレミアリーグ(同国1部)、ウクライナ・カップ、ウクライナ・スーパーカップ優勝に貢献した。
ピッチ全体を見渡すゲームビジョンと優れたパスセンスを持った、昔ながらのファンタジスタ(プレーメーカー)である。ユーロ2020では攻撃面で十分な輝きを見せていないが、決勝トーナメントでのプレーを期待したい。今後は同選手の活躍をもっとレベルの高い5大リーグの1つで見てみたいものだ。
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