元Jリーガー監督が“マニア目線”で選出 巨漢FWに超新星…EUROで注目した4人とは? 2021.07.02

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    2021年07月02日 12:27 visibility196
東大ア式蹴球部を率いる林陵平監督が選出、「存在感抜群」とGKドンナルンマを絶賛

 欧州王者を決める4年に1度の祭典、欧州選手権(EURO)。海外サッカーマニアとして知られる東京大学運動会ア式蹴球部の林陵平監督に、大会が進行中のなかで今注目のタレントをピックアップしてもらった。林監督が優勝候補に推す“あの国”の守護神を筆頭に、ウクライナの“アシスト王”、クロアチアで注目を集める10代の逸材など、EURO後の活躍も楽しみな4選手の名前が挙がった。(取材・文=石川 遼)

 

■ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア代表/GK/ACミラン所属)

 

【20-21シーズン成績:セリエA・37試合出場】

 17歳でイタリア代表デビューを飾り、名門ACミランでも若くして不動のレギュラーに上り詰めた“ブッフォンの正統後継者”。今季限りでミランを退団し、パリ・サンジェルマンへの移籍が噂されている。

 

林監督「僕は今大会、イタリア代表を推していて、開幕前から優勝だと言ってきました。そのイタリアからドンナルンマを選びました。今まさに去就が注目されている選手ですが、EURO最初の2試合を見てもやはり存在感が抜群ですね。ミラン退団が確実と言われているなかで、安定感あるプレーを見せています。196センチ・90キロ。まだ22歳であの貫禄です。

 

 こういうビッグトーナメントではGKの存在が非常に重要だと思っていて、彼の存在がイタリアを優勝候補に推している理由の一つです。彼がいることで、イタリアの守備は安定感が増しています。シュートストップの技術や反応の早さに加え、ビルドアップもできる。そして何度も言いますが、何よりも凄いのはやはりあの存在感です。ちなみにプチ情報ですが、ドンナルンマの彼女はめっちゃ身長が低くて、並んだ時にすごく身長差があります(笑)。チェックしてみてください」

 

■ルスラン・マリノフスキー(ウクライナ代表/MF/アタランタ所属)

 

【20-21シーズン成績:セリエA・36試合出場8得点12アシスト】

 ウクライナの名門シャフタール・ドネツク出身。ベルギーのヘンクを経て、2019年からアタランタでプレー。正確無比な左足が武器で、今季セリエAのアシスト王にも輝いた。

 

林監督「次はウクライナのマリノフスキーですね。もしかしたら、まだそこまで知られていないかもしれませんが、セリエAを見ている方にはお馴染みの選手です。彼の左足のパンチ力は本当に凄まじいものがありますし、パスのセンスもドリブルで運ぶセンスもある。

 

 ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が率いるアタランタも十分魅力的なサッカーをするクラブですけど、マリノフスキーはさらにステップアップしてメガクラブでプレーするだけの力があるんじゃないかなと思って見ています」

 

「ストライカーの嗅覚が優れている」オランダの巨漢FWとクロアチアの超新星

■ボウト・ベフホルスト(オランダ代表/FW/ヴォルフスブルク所属)

【20-21シーズン成績:ブンデスリーガ・34試合出場20得点9アシスト】
 オランダリーグで活躍し、2018年にヴォルフスブルクへ移籍。25歳で代表デビューと遅咲きだが、ブンデスリーガでは3シーズン連続16得点以上をマーク中。197センチの長身を生かしたプレーが魅力の点取り屋。

 

林監督「オランダのベフホルストも注目です。マリノフスキーと同様にまだあまり知られていない選手かもしれないですが、所属のヴォルフスブルクではかなり点を取っています。197センチ・84キロとサイズがあって、FWルーク・デ・ヨング(セビージャ)らを差し置いてオランダ代表のスタメンを張っていますし、今大会初戦のウクライナ戦では得点も決めました。

 

 もう28歳で中堅ですけど、サイズがある割には足下も上手い。そして一番の魅力は、ゴール前での得点を取れるポジションを知っているところ。ストライカーとしての感覚が非常に優れていると思います。ペナルティーエリアの外ではシンプルに味方につけるプレーをしますけど、エリア内に入った時には体を上手く使って反転してゴールを狙います。もちろん、オランダにはFWメンフィス・デパイ(リヨン→バルセロナ)のような選手もいますが、勝ち上がっていくほどベフホルストの重要性が高まっていくと思います」

 

■ヨシュコ・グバルディオル(クロアチア代表/DF/ディナモ・ザグレブ→RBライプツィヒ)

 

【20-21シーズン成績:クロアチア1部・25試合2得点3アシスト】

 クロアチア名門ディナモ・ザグレブで育った期待の新星。昨夏にドイツ1部RBライプツィヒに引き抜かれ、今季は1年間ローンでディナモ・ザグレブに残留していた。ドイツでのさらなる成長に期待が懸かる。

 

林監督「若手注目枠で『この選手、能力高いな』と感じたのがクロアチアのグバルディオルですね。サイドバックなのに185センチとサイズがありますし、アスリート能力が高くてスピードもある。今大会で初めて見た選手だったんですけど、特に目に留まった1人です。

 

 2002年1月生まれで、まだ19歳。クロアチアにはMFルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)やMFマルセロ・ブロゾビッチ(インテル)など良い選手が揃っていますけど、そんななかでもこのグバルディオルに目がいってしまいました。『これからが楽しみだな』と思っていたら、来季からドイツ1部のRBライプツィヒでプレーすると知って納得です。将来が楽しみで、今後トップレベルによく見る選手になると思います」

 

[プロフィール]

林陵平(はやし・りょうへい)

 

1986年9月8日生まれ。34歳。明治大で関東1部リーグ優勝を経験。同大卒業後にジュニアユース、ユースでプレーした東京ヴェルディに加入し、プロデビューを果たした。その後、柏レイソル、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬と計6クラブを渡り歩き、2020年シーズン限りで現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。21年から東京大学運動会ア式蹴球部の監督に就任した。

 

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)

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