審判の質低下　〜ビデオ導入／紳士のスポーツゴルフ化か〜

野球っていうのは非常にアバウトなスポーツだ。
アウト・セーフ、或いはストライク・ボールの判定も
曖昧なものが多く結局、中立な誰が判断せねばならない。
だから審判がいないとはじまらないスポーツである。

完全にアウトと分かるのはフライを完全捕球した時か、
打者ランナーが１塁まで駈け抜けなかった時ぐらいだ。
ヒットなら打者ランナーが１塁まで駈け抜け、
守備側が１塁に送球しなかった時ぐらいか。
ホームランなら完全にスタンドに球が入った時ぐらいだろう。
ボールが跳ね返ってグランドに戻ってきてしまうと、
ちゃんと審判が見てないと疑惑のホームランにされる恐れもある。
ゴロならアウトにしようと守備側が送球した時点で、
ランナーが速いか、球が速いか見極める審判が必要となる。
ストライクかボールかなんかは、審判が判断する以外ない。
空振りでも、振った振っていないで揉めれば、やはり審判がいる。

私は、公園などで子供２人と野球することがあるが、
審判は親の私が行う。
その判定はバランスをとるようにしている。
時間がない時はストライクを多目に取ったり、
余り大差になると面白くないので負けてるいる方に
有利になるような判定を行うなどだ。
このような例は極端だが、
試合の進行は、審判の微妙なさじ加減に
委ねられているということは分かるであろう。
（野球以外では、ラグビーなどは特にそうだ）

このように審判に委ねられている点が多いと
審判には厳正なる判定をしてもわらねば困る。
しかし、野球というスポーツは冒頭にも述べたが
アバウトなスポーツである。
ビデオ判定を導入せよという意見もあるが、
果たしてそれが上手く機能するだろうか。

ビデオ判定と言えば、大相撲の物言いの際に
参考に使われることがある。
相撲の場合、そこで白黒がはっきりしたとしよう。
その後、特に判定が覆った後の処置だが、
行司指し違い、或いは取り直しをすれば、
問題は起こらない。
しかし、野球でビデオ判定して、
今のはファウルではなくフェアでしたから、
続けてランナーの方はお走り下さい、
守備の方は引き続きボールを追いかけて下さい、
とはならない。
ファウルと言われた時点でプレイがストップするのだから、
間違いでしたから、はい再開！とはいかない。
だから、その瞬間瞬間で審判が判断するんだ。

また、例えば４−６−３のダブルプレーとしよう。
ビデオで厳密に見るとショートの足がベースから
離れている場合もある。
しかし、それは流れを見て審判はアウトと判断する。
そして誰もが今のはだいたいアウトだと納得する。
大多数の人が納得する判定であれば文句はないのだ。
いちいち厳密に見ていたら物事は始まらない。
そんな所でセーフなったって野球として面白くない。
逆にそのアバウト差が野球の面白さである。

その野球の日本の頂点であるプロ野球で、
今、審判の質低下が嘆かれているのは残念だ。
誰もがおかしいと思う判定を続けていれば、
そのアバウト差を許容する心を人々が持たなくなる。
すると審判に文句を言ったり、
厳密に判定せよ、ビデオを導入せよという声が生まれてしまう。

当然、技術を強化してもらはないと困る。
しかし、解決策はそれだけだろうか？

では、スポーツで審判がいない競技を考えてみよう。
その例としてゴルフが挙げられる。
確かに競技会なのでボールの処理判断を仰ぐ為に
審判はいるにはいるが、
基本的にスコアは自己申告である。
ゴルフという競技は、大勢の人が同時プレイすることができない。
だからプレイする組を分けざるを得ない。
自分の組以外のプレイは見れないので、
他の組が不正をしても分からない。
しかし、それでは大勢の人が競う（大会をする）ことができない。
だから、紳士なスポーツとして位置付け、
正直にスコアを自己申告させる事より成り立せている。
当然、同伴した競技者のチェックもあるが、
わざわざ審判を置いたりはしない。

野球もこんな紳士のスポーツ、ゴルフを見習ってはどうだろうか？

プレイはできる限り自己申告するのだ。
そうすれば、ワイルドピッチかファウルか？何て揉めることはなかろう。
バッターが素直に、「今のはバットに当たりました」って言えばいいのだ。
（バットに当たったかどうか何か本人が一番分かってるはずだ。
そうすれば、８月の横浜阪神戦で矢野が退場になることもなかった・・・）
デットボールでもないのに、当たった当たったと言うな。
ワンバンドかダイレクトキャッチかは本人が一番よく分かってるはず。
確かにアウトかセーフ、ストライクかボールは、主観によるものが多いので
自己申告せーと言っても始まらないかもしれない。
そういうプレイは審判に任せよう。
ただ、紳士に申告すれば、解決できる判定は十分あるはずだ。