映画/Babel 3つのストーリー

  • viva
    2007年03月10日 07:02 visibility190

第79回アカデミー賞で、菊池凛子が助演女優賞にノミネートされたことから話題になっている映画「バベル」。モロッコで少年が撃った1発の銃弾から物語が動き始める。アメリカ、メキシコ、日本、3大陸4言語で、それぞれのエピソードを時間軸をずらして並行して描いている。メキシコ出身のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は、デビュー作のメキシコを舞台にした「アモーレス・ペロス」、続いてアメリカを舞台にした「21グラム」の監督を務めた。いずれも、1つの事件をきっかけに、何の接点も無い人物たちが交差する物語。この「バベル」は、そうした一連の流れの集大成的作品で、登場人物達を世界に広げた事で、刺激的かつ衝撃的な作品として仕上がっている..


「バベル」(06年、メキシコ)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル
   役所広司、アドリアナ・バラッザ、菊池凛子、エル・ファニング
   二階堂智、ネイサン・ギャンブル、ブブケ・アイト・エル・カイド
   サイード・タルカーニ、モハメド・アクサム
4月28日、有楽町・スカラ座(東京)ほか全国東宝洋画系で公開

Babel / Trailer

Babel: Tres historias / México

舞台は並行してメキシコ篇。リチャードとスーザンの2人の子供とその乳母・アメリアが、息子の結婚式に帰国できなくなった夫婦の子供を連れてメキシコに行くが、生死をさまよう事件に巻き込まれる..

Babel: Tres historias / Japón

舞台は日本。銃の所有者が日本人男性と判明。妻の自殺以来、聾唖の娘チエコと心の溝に悩むヤスジローが、その人物だ。ヤスジローを演じるのは役所広司、短い出演シーンだが、存在感は印象に残る。チエコを演じるのは、かの菊池凛子。聾唖(ろうあ)なのでセリフはなく、手話と表情での演技だが、目の力強さと相反した孤独感を感じさせる。言葉がしゃべれないので、動物的な感覚を醸し出している。映像を見ると、監督が外国人なので日本という国に、なんとなくフィルターが掛かり、多少、違和感を感じるかも知れない。現代の日本の風景として、高速道路の横に作られた公園、人工的なカフェとクラブ、近代的な高層マンションなどの風景とともに、狭い店内に巨大な換気ダクトが配置された新宿西口の思い出横丁の飲み屋などが写しだされ、外国人の目で見た、異文化を持つ日本の姿が描かれている。
映画の舞台は世界各地。自然の大地をロケした中で、唯一東京だけが高層ビルの立ち並ぶ風景で出てくるが、これは、監督が東京の町並みを「バベルの塔」の合わせ鏡として捉えていた所為なのかも知れない..

Babel: Tres historias / Marruecos  

まずモロッコ篇は、知り合いから1挺のライフルを買ったことから始まる、家族の悲劇が描かれる。アブドゥラは生活の糧であるヤギを襲うジャッカルを殺す為に、2人の息子にライフルを渡す。子供たちはいたずら心で眼下の山道を走るバスを狙い、1発の銃弾を放った。その銃弾は観光バスに乗っていた、見失った絆を探しに来たアメリカ人夫婦の妻スーザンの鎖骨を撃ち抜いた。辺境の地で救助もままならない状況にいら立つ夫・リチャードをよそに、事態は国際テロ事件へと発展する。リチャードを演じるのはブラッド・ピット。目の周りに細かい皺が刻まれ、白髪交じりの髪とひげの、生活に疲れきった中年男の役。“ブラピ”の愛称で呼ばれる人気スターの面影はない。妻のスーザンにはケイト・ブランシェット。銃弾に撃たれ、身動きの出来ない難しい役を演じている..

Babel: Detrás de Cámara

Babel: Escenas   

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