ビフォー・アフター
-
MASE
2009年03月10日 11:22 visibility112
先日、ちょっと衝撃を受けた出来事がありましたので、
折角なので、日記に書いてみます。
それはある日のことでした。
友人との約束のため、
電車で、ある場所に向かっていました。
私は運良く座れたのですが、
その電車は少し込み合っていました。
私の前には、一人の女性が立っていました。
私は本やMP3プレイヤーをもっていなかったので、
電車の中でやることもなく、ぼーと座っていました。
ふと、目を前に向けると、
私の前に立っている女性のお腹の上辺りに、
あるものを見つけました。
社員証でした。
割としっかりしたビル・オフィスに勤めている方は、
入退室管理のため、社員証(カード)が必要になりますよね。
そのため、首から社員証をかけている人がいます。
その女性も、首から社員証をかけていました。
「どこの会社だろう?」
そんな素朴な疑問をもった私は、
社員証をもう少し良く見てみました。
すると、その社員証には、写真がついていました。
顔写真です。
その顔写真を見ました。
どこかに見覚えが・・・
いや、全くありません。
見覚えはありませんでしたが、
とても素敵な女性でした。
黒髪が似合い、色白で、すごく素敵な女性でした。
「今日は良い一日だ」
私は心の中で思いました。
いたって単純です。
しかし、そんな平和な時間は長くは続きませんでした。
次の瞬間、
私は、無意識に視線を上にあげました。
視線を上げたその先には、その方の顔がありました。
「!!!???」
「うそーん!、まじですか???」
視線を上げたその先に見たその顔は、
社員証の顔写真とは、全く違っていたのです!
私は混乱しました。
「別人の社員証?」
「自分の見間違い?」
「アクセサリー?」
いろんな考えが頭に浮かびました。
私は視線を下ろし、もう一度、
社員証の顔写真を見てみました。
先ほどと変わらず、素敵な方の写真です。
黒髪が似合い、色白で、すごく素敵な女性の写真でした。
私は、意を決して、
もう一度、視線を上げました。
「目が合ったら殺される」
そんな不安を持ちながらも、
思い切って、視線を上げました。
しかし、社員証の写真とは、
明らかに違う人に見えました。
私は何度も視線を上げ下げし、
社員証と、生の顔を往復してしまいました。
目があったら殺されるリスクもなんのそのでした。
電車が次の駅につくまでの間の僅かな時間で、
私の視線は上下に何往復したか、
もはや数えることもできませんでした。
見れば見るほど、謎は深まりました。
しかし、私は見逃しませんでした。
その人の「目」に、社員証の顔写真との共通点を発見しました。
社員証と実際の顔を何往復もし、
僅かな謎を解く手がかりをみつけたのです。
その社員証の顔写真は、
恐らく本人のものであるようでした。
本人の顔と、社員証の写真は、
目の形がよく似ていました。少し面影がありました。
しかし、他の部分は摩訶不思議にも、面影がなく、
むしろ、人相すら変わってしまっていました。
肌も、どちらかといえば色黒です。
「ビフォー・アフター」
私の心の中に、この一言が浮かびました。
通常、ビフォーがだめで、アフターが良くなるのが常ですが、
そんなことはどうでもよくなりました。
社員証の写真は、
何年も前のものでしょうか。
いや、正直なところ、年数の経過というよりも、
化粧の具合と、人相の違いが大きいような気がします。
たぶん、そんなに年数はたっていないはずです。
というか、普通に年をとるだけでは、
あのような変化はないはずです。
年齢ではなく、人相が変わった影響でしょうか。
その日だけ化粧を忘れてしまったのでしょうか。
ちょっと、日焼けをしすぎたのでしょうか。
今は冬ですけど。
「その社員証だと、警備員に止められませんか?」
そんな一言が危うく喉から出そうになりましたが、
ぎりぎりで押さえ込みました。
正直なところ、
その写真が本当に本人のものなのか、
確証はもてませんでした。
ウルトラCで、
本人に、「これ自分の写真ですか?」と聞く手もありましたが、
車内の空気が乱れそうだったので、断念しました。
ウルトラEで、
本人に、「何かあったんですか?」と聞く手もありましたが、
より重い空気となりそうで、断念しました。
どこかやりきれない気持ちの中、
電車は次の駅に着き、私は席を立ちました。
ある夜の出来事でした。
- favorite21 chat3 visibility112
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件