生きてこそ�

  • ヒデ
    2007年04月29日 15:41 visibility65

今考えると、すでにこの時、80%くらいの確立で危険な状態だったのであろう。医者も看護師も、この事態に気づいていない我々に現在おかれている状況を詳しくせつめいできなかったのであろう。いやしていたかもしれないが、うけいれられなかっただけだかはわからない。
 酸素マスクをつけいかにも衰弱している義理父が、我々夫婦が来たことにきづくとありがとうと言い、お前らは明日仕事があるんだから帰れと言ってくれた。こんな状況で我々のことなんかきづかうことなんて必要ないのに。

とにかく動かないように見ていてくれと医者に言われた。敗血症というものを起こしており、血小板が通常の2分の1から3分の1の数になっており、血栓が体中にできて、いたるところでつまってしまう可能性があるとのことであった。それを聞くと、妻は必死に動かさないように父親をなだめた。しかしじっとしているのがつらい義理父はどうしても動いてしまう。
担当医師が義理母と妻に現在の状態を説明したいとのことで、外に出た。その間、私が義理父を見ていた。

「お父さんすみません。つらいでしょうけどおさえさせていただきます。」と言うと、
「悪いな。早く帰るんだぞ!」とまた言ってくれた。
二人が外へ出たことで心配になった義理父は「俺の状態がすごく悪いから外で話し合っているのか」
と聞いてきた。私はただ手続きにいっただけだと義理父に必死でうそをつき、安心させた。
すぐに二人が病室に戻ってくると、母はベットに横になり、妻がまた義理父に付き添い、動かないように必死にさとした。私の姿が見えると義理父が気をつかうので、病室内の義理父から見えない位置にすわり、ただひたすら心拍数と血中酸素をあらわす機械の表示を見ていた。

二人が医師からの説明を受けた内容は相変わらずで、とにかく血液検査の値がものすごく悪く、血小板の数が少ないので外科的な手術は行えないとのことであった。(血がとまらないので)
今考えると、この時もうすでに手の施しようがないということをつげられていたのだ。ただ義理母も妻も私も先日まで元気だった父の姿を見ているため、死がすぐそこにまっていること現在重態であることすら誰も信じられなかったのだと思う。ここまでいわれても本当にみんながたいしたことはないのだと思っていた。

 疲れて寝た義理母。起きているのは妻と私と義理父の3人。私はあいかわらずみつからないようにすわっている。妻は3時間近く父に動かないよう諭しては動く父を押さえつけていた。妻がお父さんに、
「つらい?」と聞くと「つらくない」と答えた。
「じゃあ何がつらい?」と聞くと「退屈がつらい」と答えた。
水が飲みたいと言父。水分の摂取は腸閉塞をおこしているため絶対に禁止であった。
妻は必死で「がまんして」と義理父を諭していた。

午前3:30ころ看護師が診察に来た。衣類の交換や器具のとりつけなどで我々の想像以上に義理父を動かしていた。妻がこの程度は動かしていいのか?と聞くと、「いいですよ」と看護師は言った。
看護師がでていくと妻が再び義理父に話しかけ始めた。
「お父さん」
「ん」
あきらかに返事が今までより遅い。この呼びかけで母が目をさました。
「お父さん」再び妻と母が呼びかける。
「お父さんどうしたの」
だいぶ遅れてから
「眠くなってきた」と今までとは別人の重たいろれつのまわらない口調で答えた。
「お父さんねむいんかい、ねむいならねな」と妻が言った。
すると「眠い」と力ない声で義理父が言った瞬間、機械の心拍数の表示と血中酸素の数値がいきなり下がり始めた。するとすぐに医師と看護師が病室に入ってきて、私と妻と義理母は病室の外へだされた。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。