
2011年ファジアーノ岡山総括(攻撃編)
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杉野雅昭
2011年12月25日 20:38 visibility111
43得点。
それが今季の得点である。
この数字が何を意味するのか。
何故、この数字になったのか。
岡山の攻撃は成長したのか。
様々な視点で多角的に切り込んでいきたいと思います。
1、サッカーの流れ(スタメン考察)
2、ポジション別攻撃総括
3、まとめ
1、サッカーの流れ
●開幕戦(湘南戦)
中野
臼井・岸田
田所・千明・大道・久木田
後藤・ストヤノフ・沢口
李
まず目につくのが中野1トップ。
正直中野1トップは、ボールが収まらないし、良いパスがこないと全くと言っても良い程機能しなかった。
臼井と岸田のコンビも慣れない動きからあまりボールに絡めなかった。
また、起点がストヤノフのみで、そこを封じられてしまい何もできなかった。
この段階で、完成度の低いサッカーであったのは確か。
当時のレビューを見ても、DHのゲームメーカーを上手く使えてなかった。
色々と改善の余地もあった。
CBの攻撃参加もほぼ皆無であったし、戦術理解度も低かった。
●中断明け(京都戦~栃木戦)
白谷
岸田・キム
一柳・千明(竹田)・仙石・沢口
近藤・ストヤノフ・後藤
真子
白谷を1トップに据えてボールこそ収まらないが、決定力アップ。
実際に得点を決めた。
キムの加入で、前線に起点ができた。
千明と仙石もまだ持ち味をこの頃は出せていなかった。
一柳がWBと復帰するが、攻守共に足りないものが多かった。
沢口は、WBとして本来の持ち味を出せる様になる。
この頃は、まだCBの攻撃参加は見られない。
●チアゴ初スタメン(草津戦~千葉戦)
チアゴ
岸田(妹尾)・臼井
一柳・竹田・キム・沢口
近藤・ストヤノフ・後藤
真子
チアゴの1トップで、ボールが収まる様になり、前線に起点ができた。
しかし、OHの岸田と臼井に決定力に欠けなかなかゴールまで至らず。
キムDHまで下がった事で起点を失う。
仙石・千明・大道といった選手が、中盤省略のサッカーにより外される事になる。
●竹田のCB出場(横浜FC戦~札幌戦)
チアゴ
妹尾・臼井
一柳・千明・キム・沢口
近藤・ストヤノフ(竹田)・後藤(竹田)
真子
竹田のクレバーなプレイが認められてCBとなったが、1:1の弱さなどから退場する結果と繋がった。
やはりストヤノフの代役は難しかった。
それでも、リベロとして出場した際は、そこそこの展開力を見せていた。
この段階では、攻撃面でストヤノフの代役を見つける事は難しかった。
ベテランのストヤノフの中心の3バックをする事に疑問が浮かんだ。
私個人、この試合を見た時は竹田でもいけると思ったのだが…
●植田出場、小林台頭とストヤノフ不在(北九州戦~水戸戦)
チアゴ
妹尾(岸田)・臼井
小林・千明・キム・沢口
植田・後藤・近藤
真子
このメンバーで、少し手ごたえを掴んだが結果を掴めず。
小林は、クロスの武器にレギュラー奪取。
そこから良い攻撃が出来る様になる。
妹尾と臼井の得点力不足が響く。
ストヤノフが居ない事で、千明の展開力が活きた。
この段階で、ストヤノフと千明の共存は、難しかった。
●石原の台頭(東京V戦~FC東京戦)
チアゴ
臼井(岸田)・石原
小林・千明・キム(竹田)・沢口
近藤・竹田(ストヤノフ)・後藤
真子
試行錯誤が、続いている中で、スピードのある石原の投入。
スピードを活かした攻撃が出る様になるが、得点力不足は解消できず。
岸田をスタメンに起用したり、ストヤノフがCBに戻ったりなど、めまぐるしく変わる。
ここで3連敗を喫し、苦しいところだった。
●植田の台頭(愛媛戦~湘南戦)
チアゴ
臼井・石原
小林・千明・キム・沢口
植田・ストヤノフ・後藤
真子
植田がCBに入った頃から、CBの攻撃参加が増えてきた。
それにより厚みのある攻撃が出来る様になってきた。
近藤が、そういったプレイが苦手だったが、後藤も良い攻撃参加やフィードが増えて来た。
ストヤノフも視野の広さを活かしたフィードを見せていた。
●久木田と仙石などの久々の出場(北九州戦~草津戦)
久木田(白谷)
臼井(山崎)・石原
小林・仙石(千明)・竹田(キム)・沢口
植田・ストヤノフ・後藤
真子
千明とチアゴがメンバーから外れ、久木田と仙石、竹田が出場。
しかし、次の試合で、3人とも外れる。
次の試合には、前の試合のゴールが認められ白谷も久々にスタメン出場するも目立った活躍できず。
千明とキムもスタメン復帰。
メンバーが固定できない苦しさを感じる。
栃木戦では、小林のところへ田所が入るだけで元に戻った。
●竹田がスタメン奪取(栃木戦~東京V戦)
チアゴ
臼井・石原
小林・千明・竹田・沢口
植田・ストヤノフ・後藤
真子
ゴールを決める等、積極的プレイを竹田がみせる。
メンバーも少し固まって来た事で、攻撃が機能する。
3バックに慣れてきて、サイドチェンジの回数も増える。
チアゴの欠かせない選手として活躍する。
石原の頑張りも光る。
千明は、この段階で、まだまだ。
●山崎、妹尾、田所、キムが先発(大分戦~鳥栖戦)
チアゴ(久木田・岸田)
山崎(妹尾)・妹尾(石原)
田所(小林)・キム・竹田・沢口
植田・ストヤノフ(後藤)・一柳
真子
東京V戦の大敗を受けて、大きく弄ったが、結局機能せず。
攻撃がチグハグし、山崎も浮いていた。
後藤も出場停止で恐らく外れた。
そのため次の試合では、久木田、石原、後藤といった選手が再びスタメンに。
その次の試合では、ストヤノフとチアゴがスタメン復帰。
まだまだ落ち着かなかった中で初の連勝。
この段階では、ポゼッションは、あまり重視されていなかった。
その結果鳥栖へ6失点の歴史的大敗を喫する。
●大敗を受けてメンバーを弄る(千葉戦~水戸戦)
チアゴ
妹尾・岸田(臼井)
小林・千明(キム)・仙石(竹田)・沢口
植田(近藤)・ストヤノフ・近藤(篠原)
真子
千明と仙石、ストヤノフといったゲームメークに優れた選手をそろえる。
実際決定機を作るもFW等が決め切れず、このシステムで勝利できず。
次の試合では、仙石と千明がスタメンから外れる。
篠原も初出場。
上背こそないものの繋ぐ意識が高くチャンスを作る。
●チアゴが怪我(鳥栖戦~FC東京戦)
久木田
妹尾・山崎(臼井)
小林・千明・キム(仙石)・沢口
植田・竹田(後藤)・近藤(一柳)
真子
チアゴと後藤、ストヤノフが怪我で、攻撃力ダウン。
久木田が、頑張るが、サッカーの転換を余儀なくされた。
この辺りから繋ぐ意識が高まる。
後藤が戻ってきてリベロ、一柳が近藤に代わりCBに。
仙石もスタメン復帰し、臼井もベンチ入り。
FC東京に善戦するも敗れる。
●千明と仙石のDH、キムOH(鳥取戦~横浜FC戦)
久木田
妹尾(石原)・キム
小林(田所)・千明・仙石・沢口(篠原)
植田・ストヤノフ(後藤)・後藤(一柳)
真子
ベスト布陣に近くなる。
シュート数で、相手を上回り良いサッカーを見せる様になる。
妹尾とキムのキープ力の高い選手で、相手陣内で、プレイする時間が増える。
後ろからしっかり繋いで行くサッカーができる。
小林の怪我で、田所がスタメン復帰。
徐々にパフォーマンスをあげて、サイド攻撃の回数が増える。
篠原が沢口の出場停止で、1試合出場。
沢口とは違ったプレイを見せる。
●石原の0トップ(岐阜戦)
石原
妹尾・キム
田所・千明・仙石・沢口
後藤・ストヤノフ・一柳
真子
前線が流動的に変わるサッカー。
相手のマークを混乱させる流動的サッカーができた。
実質0トップというシステムだったが、チアゴに頼らない分、しっかり繋ぐサッカーができた。
●ベスト布陣(富山戦~徳島戦)
久木田(チアゴ・石原)
妹尾・キム
田所・千明・仙石・沢口
植田・後藤・一柳
真子
1トップこそ固定できなかったが、最終的に後ろのメンバーは固定された。
FC東京戦からシュート数で相手を下回る事はなく、安定したサッカーを見せる事ができた。
千明と仙石が素晴らしいゲームメークみせ、最終ラインの選手の積極的攻撃参加。
WBの攻撃的なポジショニング。
OHのキープ力。
後は、1トップが機能すれば面白い。
2、ポジション別攻撃総括
●CB(ストヤノフ、植田、後藤、一柳、近藤、篠原)
最終ラインの積極的攻撃参加が出来る様になった事は大きい。
植田、後藤、一柳、ストヤノフは、そういった素晴らしい攻撃参加ができた。
一方で、近藤は、なかなか持ち味を発揮できなく、一人取り残された感じ。
篠原は、試合数が少ないので、なんとも言えないが、フィードに思い切りの良さを感じた。
●DH(千明、仙石、キム、竹田、大道)
DHは、千明と仙石のコンビが視野の広さを活かしたゲームメークが出来る様になった。
竹田、キム、大道が務めて来たが、二人には及ばないだろう。
同じタイプだと大道が可能なぐらいか。
出番が少なかったが、来季に向けて頑張って欲しい。
キムと竹田に関しては、今の方針だと、レギュラー奪取は、難しそうである。
ただ、大道<キム、竹田の可能性もあるので、仙石と千明が出れない場合は、二人の内何れかが出る可能性もある。
ストヤノフのDH起用もあるのか気になるところ。
攻撃的に行く時は、ポジションを上げる時はあったが、スタメンからは無い。
最終的にCBのスタメンを追われていたし、どうなるのか気になるところ。
●WB(沢口、田所、小林、一柳、篠原、久木田、石原)
沢口が、右WBのほぼ不動のレギュラーとして定着。
攻守でその運動量が光った。
沢口は、得点を奪う等、攻撃の意識も高かった。
小林が、一番の活躍を見せた。
ただ、勿体ない場面が目立った。
そういった意味で、田所は、上手く活かしてきた。
右WBで、篠原が出たが、可能性を感じるプレイを見せた。
他の選手とはタイプの違う繋ぐ意識の高いWB.
これからが楽しみ。
一柳は、WBとしては、クイックネスに欠けた。
久木田と石原もWBを務める事があった。
石原は、スピードを活かした突破を見せていたが、久木田は、WBとしては、課題が多かった。
●OH(妹尾、キム、石原、岸田、久木田、桑田、山崎、白谷)
最終的には、妹尾とキムに落ち着いた。
二人ともキープ力のある選手で、前線で起点となり、多くのシュートまでの攻撃の形を作る事に貢献。
石原、岸田、久木田は、スピードを活かしたプレイで、見せ場を作った。
山崎と桑田は、出場機会が少なかったが、パスで存在感を示した。
白谷は、OHという感じがしなかった。
●FW(チアゴ、白谷、岸田、久木田、石原)
基本的には、チアゴの圧倒的ポストプレイが印象に残っている。
高いキープ力とテクニックは、大きな武器でした。
セットプレイでの決定力の高さは流石。
白谷は、シュートの巧さからの決定力の高さが光ったが、信頼を得れず。
岸田は、決定力の低さが目立った。
FWとしては、物足りなかった。
久木田は、スタメンこそ少なかったが、途中出場で4得点をあげた。
スタメンで、そのプレイが出来る様になるかが課題。
石原は、0トップというほぼ、OHという感じのプレイだった。
3、まとめ
チアゴ、キムミンキュン、ストヤノフで、14得点。
外国籍の活躍が大きかった。
チアゴとストヤノフが怪我で、苦しんだ一方で、その期間を通じて選手達が成長した。
チアゴ依存のサッカーになっていたが、彼が怪我した事で繋ぐ意識が生まれた。
そうした事で、ポゼッションが出来る様になった事が大きい。
また、仙石と千明のフィットしたのが一番の要因だろう。
そこで、抜群に岡山が支配する時間が多くなかった。
そこで主導権を握れた。
昨季も、終盤良いサッカーを出来ていたのだが、3バック導入で、一から作る事になった。
そういった意味では、来季は、今季終盤の良いサッカーが出来れば、そこそこの順位に行けるのではないかと思います。
序盤戦は、ストヤノフのフィード頼りのサッカーだった。
そこを封じられての開幕戦。
そこからキムミンキュンとチアゴの加入で、サッカーが変わった。
キムミンキュンは、高いキープ力で、攻める時間をもたらし、チアゴは、前線の起点なった。
シーズン中盤は、チアゴの1トップに当てるという中盤省略のサッカーになってしまい、3バックの良さをあまり活かせなかった。
終盤、ポゼッションを狙うというサッカーに転換した事で、3バックの特性を活かし、完成度の高いサッカーをする事ができた。
来季は、これをヒントに今季終盤の良さを活かし、様々な攻撃のパターンを作る事が重要であるだろう。
来季は、55得点以上を目標に頑張って欲しい。
岡山から世界へ
To Be Continued
by杉野雅昭
まだまだ未熟なので、おかしい点があるかもしれないので、反対意見歓迎ですし、間違いなどありましたらご指摘などのコメント宜しくお願いします。
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