現時点で巨人の外部補強の話がショボイ4つの理由

1・セリーグ優勝でCS惨敗ということの評価が定まっていない.
 セリーグ優勝はプラス評価だが,CSで阪神に惨敗した.2年前の日本一,昨年のセリーグ優勝・CS通過・日本シリーズ惜敗より明らかに成績は落ちているが,それに対する球団フロントの評価が聞こえてこない(おそらく,ナベツネ氏の評価待ち).評価が定まらない以上,外部補強すべきかどうか,補強するならどの程度必要かという方針が定まらない.

2・「ポスト阿部」の青写真が描けていない.
 この場合の「ポスト阿部」は,捕手:阿部の後釜ではなく,リーダー:阿部の後釜である.2007-2009の3連覇の時の巨人が「小笠原・ラミレスのチーム」なら,2012-2014年の3連覇の巨人は「阿部のチーム」だった.この後は,村田をつなぎにして長野・坂本のチームにするつもりだったと思うが,今年の村田の成績では「つなぎ」にもなれず,長野・坂本も「リーダー」とするには心許ない.にも関わらず,阿部が急速に衰えてしまって,来年以降の青写真が描けていない.つまり,長期的な補強(と育成)の方針も定まっていない.

3・金がない.
 参考部分で示すように,2007-2013年の巨人の年間の選手人件費(推定)は2008年を除いては50億円以下で,2011-2013年は42億円以下だった.韓国から相応の収入があった李選手(当時の年俸:6億円)を除くと,2007-2010年も2008年のみ47億円でそれ以外は43億円以下となる.それが,下記にも示す「ナベツネの鶴の一声」で増額されて今年は50億円に達している.早くても,今年の主な選手の年俸契約が終了するまでは,補強費にいくら使えるかはまったく分からない状況と思われる.

4・ナベツネの「鶴の一声」がない.
 去年の日本シリーズ直後も1と3の問題は抱えていたが,ナベツネ氏の「大補強だ」の鶴の一声で結論が出てしまった.1については,「大補強だ.」→「セリーグ優勝,CS突破,日本シリーズ惜敗だが評価はX」という本来とは逆の順序で評価が出てしまい,3については,「従来の枠以上の人件費を出してもOK」ということになったわけである.しかしながら,今年は,ナベツネ氏からのコメントが出ていない.ナベツネ氏の健康状態に問題があるという噂もある(ただし,この手の噂は過去にも何度かあった・・).

*以上の結果として,巨人としては,補強について大きな動きが出来ない状況にあると思われる.
 

参考1:2007年以降の巨人の選手総人件費の推移.詳細はhttp://labola.jp/diary/22040388.

年   :金額    金額増減の主な理由.
2007年:46億円
2008年:53億円 ラミレス・クルーン・グライの加入
2009年:46億円 上原・二岡の流出と清水の戦力外.
2010年:49億円 前年のセ優勝・日本一で増加
2011年:40億円 李・クルーン・豊田の戦力外
2012年:39億円 ラミレス等の外国人大量戦力外と村田・杉内・ホールトンの加入
2013年:42億円 前年のセ優勝・日本一で増加
2014年:50億円 前年のセ優勝,大竹・片岡・セペダの加入
2015年:?

参考2
 清武元GMの本(写真参照)によれば,2007年時点で巨人の経常利益は27億円とのことです。当時の巨人の選手人件費は上述のように46億円ですから,その後の収入が極端に減らない限り,選手人件費が50億円でも赤字と言うことはないと思います.他方,ソフトバンクのように「補強費は青天井」(孫オーナー?)ということもありません.

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