ウクライナ:世界遺産都市リボフ閑散 東部紛争が影

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    2015年02月18日 09:31 visibility128

長引くウクライナ危機が、同国西部の古都リボフの観光業を揺さぶっている。中世の街並みが残り「埋もれた宝石」と呼ばれる古都は1998年には「世界遺産」に登録された。しかし、約1000キロも離れた東部で続くウクライナ軍と親ロシア派武装勢力の紛争の影響で、2022年冬季五輪招致からの撤退を決定せざるを得なくなるなど、大きな打撃を受けている。【リボフ(ウクライナ西部)で坂口裕彦】

 路面電車が古い建物に囲まれた石畳の路地をすり抜けていく。13世紀に建設されたリボフは、ポーランドやハプスブルク帝国、ドイツ、ソ連とその時々で異なる国の支配下にあったが、街並みは当時のまま残っている。「ここはさまざまな時代の息づかいを堪能できる街」(地元の雑誌編集者、タラス・ボズニャク氏)だが、週末にもかかわらず、観光客の姿はまばらだった。

 リボフ市の統計などによると、13年に訪れた観光客は100万人を超え、09年と比べても約4割増と順調な伸びを示していた。12年にサッカー欧州選手権の開催地の一つとなったこともイメージアップに貢献した。

 しかし、1年前のヤヌコビッチ政権崩壊に伴う混乱で、昨年1〜2月は前年比で約15%も客足がダウン。ウクライナ東部の戦闘が激化する中、観光客数は低調なままだ。ロシアによるクリミア半島編入や東部での戦闘で、リボフ市は昨年6月、経済振興の切り札となるはずだった22年冬季五輪招致から撤退せざるを得なくなった。

 それでも、欧州統合研究センターリボフ事務所のベアトリス・ベアフシフ所長(48)は「観光業は街の飛躍に不可欠。大きな可能性を秘めている」と明言する。欧州連合(EU)に加盟するポーランド国境まで約70キロという「地の利」も見込み、隣国からの観光客を当て込む。ホテル従業員のデシア・ディワンチュクさん(21)は「ウクライナ全体が危険な場所と今は誤解されている。でも、街の魅力には自信がある。通貨フリブナの下落が続く現状を逆に外国人観光客を呼びこむチャンスに変えたい」と力を込めた。

http://mainichi.jp/select/news/20150217k0000e030164000c.html

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