フットサル特有のルールである「第2PK」について、解説します。

 

 

サッカーとは似て異なるスポーツのフットサル。その特有のルールの一つに、「第2PK」があります。フットサルでは直接FKになるファウルは累積してカウントされ、前後半で各6回目の直接FKになるファウルが数えられると、「第2PK」が与えられます。

「第2PK」というのは、ゴールマウスの中央から10メートルの位置にある第2ペナルティーマークから蹴る、フリーキックのことです。通常のフリーキックでは、ファウルをした側のチームは、フィールドプレーヤーを並べて、壁をつくって守ることができますが、「第2PK」では、守備者は壁をつくることができません。そのため、PKのようになるので、「第2PK」と呼ばれています。

もし、6つ目のファウルがゴール前、10メートルよりも近い位置で起きた場合はどうなるでしょうか? この時、ボールを蹴る側は自分が第2PKスポットからボールを蹴るか、このファウルが発生した場所から蹴るかを選べます。もし、ファウルが発生した場所から直接ゴールを狙うことを選んだ場合でも、相手は壁をつくることはできません。

 

さて、25日に開幕したFリーグ・ディビジョン1では、第2PKになる場面が一度もありませんでしたが、実は直接FKに値する6つ目のファウルが一度だけ発生していました。

それは名古屋オーシャンズと湘南ベルマーレの一戦です。湘南は残り11分弱の時点でチームのファウルカウントが5つを数えました。しかし、この後の後半12分にカウンターを受けた湘南はドリブルで突破されそうになり、相手陣内で高溝黎磨選手が吉川智貴選手を抱えるように止めて、前進を阻止したのです。

通常であれば、この時点で6つ目のファウルとなり、名古屋は第2PKが与えられる、もしくはこの地点から壁なしFKを蹴ることを選択することになります。

ところが、この場面ではボールがこぼれた先にラファ選手がいました。そして、湘南はGKのフィウーザ選手も攻撃に参加していたため、ゴールは無人の状態だったのです。ラファ選手は、そのままドリブルをすれば、GKと1対1になることができるアドバンテージがある状態であり、そのため審判団はプレーを止めずにプレー続行を促しました。

これは「フットサル競技規則の解釈と審判のためのガイドライン」の第5条 主審・第2審判の項にも「違反直後に得点の機会がない限り、犯された違反がチームの6つ目またはそれ以上の 累積ファウルであってはならない」と記されており、審判団は「得点の機会」と判断し、アドバンテージを適用したのでしょう。

結局、ラファ選手はフィウーザ選手がゴール前に戻る前にシュートを放ち、そのシュートが枠を外れてから、第2PKをアピールしました。しかし、すでにプレーを流してアドバンテージを適用していたため、第2PKや壁なしFKは与えられなかったのです。

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