初心者に「どこに動けばいいかわからない!」と言われたら、この「ファー詰め」の動きを教えてあげましょう!

 

 

フットサルはよく「5人でやるミニサッカー」というふうに表現されます。実際、主に足でボールを扱い、相手のゴールにボールを入れた数を競うという点は同じであり、非常に似ている競技です。

ただし、ピッチサイズが横20メートル、縦40メートルであり、ゴールの大きさもハンドボールと同じフットサルとサッカーでは、細かいルールにさまざまな違いがあります。そのうちの一つが、「オフサイド」の有無です。

サッカーでは、相手ゴール前に最も近い選手にパスが出された時、2人以上の相手選手が攻め込むゴールラインの近くにいなければ、オフサイドの反則を取られます。基本的にシンプルなルールで行われているサッカーでも、最も複雑なルールです。

このルールが何を禁じているかというと、パスが出て相手GKと1対1の状況をつくられることです。サッカーはピッチが広いため、「待ち伏せ戦術」が可能になると、ロングボールの蹴り合いになるおそれがあります。

しかし、フットサルは両ゴール間の距離が40メートルしかありません。そのため、オフサイドの反則を設けていないのです。

とはいえ、ゴール前で待ち伏せしている選手にパスが通れば、有利になることは間違いありません。相手の攻撃をしのいでボールを回収し、パスを出そうとした瞬間に最前線にフリーとなっている選手がいるようだったら、その選手へのパスを狙いたいところです。そのパスが通れば、相手GKと一対一になるビッグチャンスをつくることができるからです。

この“待ち伏せ戦術”の一つに、今回のコラムで紹介したい「ファー詰め」があります。これは相手を押し込んだ時、『どこに行けばいいのー!?』という初心者の方にもお薦めの動きです。

「ファー詰め」とは、どういう戦術でしょうか。これは攻撃をしている際に、ボールがあるサイドとは逆サイドのゴールポストの前に詰める動きです。ボールから遠い(ファー)サイドのゴールポスト前に詰めるから「ファー詰め」です。この戦術はポルトガル語が由来で「セグンド」とも呼ばれます。ボールがある方向から見て2本目のゴールポストということで、2番目を意味するポルトガル語の「セグンド」という名前が付いています。

この動きをするメリットはいくつかあります。一つ目は、相手のマークを外しやすいことです。ゴレイロ(ゴールキーパー)をはじめ、守備をしている選手は基本的に、まずボールの動きを見ます。たとえば、右サイドにボールがあれば、体はそちらの方向に向き、目でもボールの動きを追うでしょう。そうなると逆サイド、つまり左サイドは死角になりやすいのです。その死角にボールが出された時に、対応するのは簡単ではありません。それこそしっかりファーポスト前でボールを待ち伏せしていれば、簡単にゴールを奪える可能性は高くなります。

もう一つのメリットは、ゴレイロの守備範囲を外せることです。ゴールキーパーは、シュートコースを消して守ってくることがほとんどです。ファー詰めしている選手は、シュートコースとは違うところにいます。そこにボールが出て、シュートを打てば、ゴレイロが消せていないシュートコースからゴールを狙えるのです。

この「ファー詰め」を成功させるポイントの一つにパススピードがあります。ボールが遅ければ、せっかく相手のゴール前で待ち伏せしている選手がいても、そこにボールが届く前に反応されてしまうでしょう。ゴール前に詰めている選手が合わせられる速さのボールを送ることがポイントになります。

特にミックス(男女混合)でフットサルをする場合、初心者の方や慣れていない女性がいれば、このファー詰めでゴール前に詰める役割を与えてあげるといいでしょう。どこに行けばいいか迷うことがなくなり、ゴールを決められる重要なポジションを任せられることでやりがいも感じられ、得点を決めることができたら歓喜の中心にいることができます。きっとフットサルの魅力や楽しさを感じ取ってくれるのではないでしょうか。

もちろん、ゴール前に詰めている選手が初心者や女性の場合、あまりにも強過ぎるボールや処理の難しいボールは送らないように気を付けましょう。ゴール前に詰める選手以上に、ラストパスを出す選手のテクニックや視野も非常に問われるプレーなのです。

トップレベルになると、強烈シュート性のボールに対して、弾丸のようにファーポスト前に走り込み、1タッチシュートでゴールを奪い取ることもあります。ペスカドーラ町田の金山友紀選手やアグレミーナ浜松の中村友亮選手のファー詰めは、まさに、お金を払ってみる価値のあるものです。

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