なでしこINAC、来季から全選手とプロ契約へ

 


(スポーツ報知)


 


 優勝した女子W杯のMVP・MF沢穂希(32)ら、なでしこジャパン7選手を擁するINACが、来季から全選手とプロ契約を結び、プロ化する方向で調整していることが26日、分かった。INACはドイツの名門・バイエルンと女子クラブW杯の創設を目指しており、プロ化は世界制覇への第一歩となる。

 W杯初優勝の波及効果は、プロ化にまで及んだ。INACの文弘宣会長(60)は「来年にプロチーム化したい。現在、リーグや協会と話し合っている」と明言した。来季、全選手とプロ契約を締結し、主催全試合をすべて有料化することを決めている。現在プロ契約は沢、FW大野の2人だけ。32歳の沢は推定年俸で約600万円。同年齢のサラリーマンより多いが、ほかの全選手は協賛企業の社員として雇用されており、金銭的には恵まれていない。MF田中は「プロという肩書は小さい頃からの夢だった。うれしい」。プロ契約になれば金額も社員契約より上がるという。

 なでしこリーガーの置かれた環境は厳しい。ほとんどの選手は、収入をアルバイトに頼っている。DF近賀は日テレ時代の昨季、夕方までクラブハウスで勤務し、夜から練習。沢はINAC入り決断の理由として「昼にサッカーをして、夜は家でゆっくり過ごすのは体調維持にもいい。自分の好きなことを仕事にできるのは幸せ」と話していた。

 文会長によれば、バイエルンのカールハインツ・ルンメニゲ社長(55)とは、バイエルンが欧州女子CLを、INACがなでしこリーグを制覇した場合、来夏にもドイツで対戦することで、合意しているという。世界規模での女子クラブW杯創設の足がかりになれば、という思いを込めての動きだ。

 「海外選手が『日本でやりたい』というリーグにしたいし、高校生たちがサッカーを職業として選択できる環境を整えたい」と文会長。なでしこジャパン世界一の勢いに乗って、プロ化で女子サッカーの魅力をさらに高め、底辺拡大にもつなげていく。

 ◆年俸めも
 ▼J1 プロA契約(最低年俸480万円)以上の選手の平均は約2500万円。クラブ別でトップとされる浦和の主力の平均は約5500万円。
 ▼J2 約600万円。アルバイトをしながら競技を続ける選手もいる。
 ▼23歳の女性 INACのメンバーの平均年齢は23.2歳。同年代の大卒女性の平均年収は約273万。

 ◆欧米では 「プロリーグ」と呼べるのは米国のWPSだけ。沢がいたアトランタ、鮫島のボストンなど8チーム。01年に発足し、興行不振で03年に休止となったが、09年に男子リーグ(MLS)の支援を受けて復活。欧州ではドイツ、オランダ、フランスなどがあるが、ほとんどがアマ契約。ドイツでプレーする永里(ポツダム)、安藤(デュイスブルク)はプロ。

 ◆INAC(アイナック)神戸レオネッサ 飲食、スポーツ事業などを手がける「アスコホールディングス」が01年に設立。05年にLリーグ2部に参入して即優勝し、翌年に1部昇格。昨年度、全日本選手権で初優勝した。今季はリーグ戦6戦オール完封勝ち。監督は元V川崎FWで日テレ元監督の星川敬(35)。




















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