
佐藤勇人のドラマ その4
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リオネル
2008年09月15日 23:51 visibility598

お届けしてきました。
佐藤勇人のドラマも今回でいよいよ最終回です。
新潟戦
'08年4月19日J1第7節、アウェイでの新潟戦。
開始4分に失点。前半終了間際、守備の要シジクレイに2枚目のイエローカードが出され、退場。
一人少ない人数で戦うことになった京都だが、ハーフタイムに結束し、強い気持ちで臨んだ後半は、いつも以上の運動量で早いプレスをかけ、ボールを奪っては攻めた。
1点ビハインドの試合は、どうなるのか分からない展開。
次第にサンガへの期待が高まる雰囲気の中、後半35分にアタリバが一発退場、同37分に増嶋が2枚目の警告で退場。これに抗議した加藤監督が退席処分となり、さらに戦況は厳しくなる。
3人目の増嶋が退場した後、ロスタイムも含め13分間。
サンガは8人になりながらも、最後まで勝利を求めて懸命に戦った。
そのときのことを、勇人はこう振り返った。
「あの試合は、自分の中に、絶対に追いつける自信があったんです。点を取れるって感じたし、3人少ない自分たちじゃなく、3人多い新潟が、自分たちにびびってたと思います。新潟は時間稼ぎもしていたし。 だからこそ、最後に追いつけなかったのは悔しかったですけど、あの戦いこそ、京都の一番の良さだと思うんですよ」
3人少なくなった京都。その苛酷な中盤を勇人は一人で引き受けた。
広いピッチの中を、選手ひとり一人が守備に、攻撃にと駆け回る。
ピッチの中はひとつとなり、ベンチも、サポーターも共に戦っていた。
8人対11人という圧倒的不利な状況の中でも、誰も諦めてはいなかった。
一方、今季いまだ勝ち星のなかった新潟は、待望の初勝利を分かち合いたいと多くのサポーターが詰め掛けていた。27,115人の観客を集めた東北電力ビッグスワンスタジアム。
試合終了まで残り5分。
3人減っても諦めずに攻め続ける京都に対し、攻撃を止め、ボールキープで時間を稼ぐ新潟。そんな姿に、新潟サポーターは、自分たちの応援する新潟に容赦なくブーイングを浴びせた。
「しんどかったですけど、楽しかったですね。京都に来てから今までの中で一番。
『これが京都だな』って身にしみながらやってた。自分が入れ替え戦を観て、思い描いていた京都のチームなんだなっていうのを、あの試合で感じましたね」
シュートは新潟の倍以上の11本を放った京都。後半は新潟に1本もシュートを打たせなかった。最後まで攻撃の手を緩めない果敢な戦いを挑んだが、0-1まま試合終了。
今季初勝利をあげた新潟のホームスタジアムは、静かだった。

ジェフ戦
'08年5月10日J1第12節、アウェイのジェフ戦、勇人にとっては移籍後初めての古巣との対戦。
アウェイのフクアリ(フクダ電子アリーナ)は、ほんの5ケ月前まで、勇人のホームスタジアムだった。
「そんなに時間は経ってないですけど、なんか懐かしさを感じましたね。予想通りのブーイングとか声援とかもあったりして。もっと変な気持ちになるのかなって思ってましたけど、思ったほどではなかったですね。それよりも、『勝ちたい』っていう気持ちが強かった」
ジェフは、ワーストタイ記録の開幕7連敗で、監督の解任。
心機一転、この試合にかける思いは強かった。
「監督が解任されて、ジェフは失うものがなくて、また1からやろうっていう感じになっていた。ウチとしては、すごく難しい試合になるだろうって思っていた」
加藤監督はじめ選手たちは、難しい試合になることを予想していた。
だが、想像以上にジェフは強い気持ちで戦ってきた。
「あの試合は、自分のサッカー人生の中で一番悔しい試合です・・・。
個人的な気持ちとして、なんであの試合に、京都の一番悪い部分が出てしまったんだろうって。やりながら、『どうしてもっと戦わないんだ』ってイライラしてました。『ふざけんな!』っていう気持ちで、走ってましたね」
0-1で、京都はジェフに破れた。
ピッチ中央、戦いを終えた両選手が握手を交わす。
ジェフの一人ひとりと握手をする勇人の心の中は悔しさでいっぱいだった。
「『俺が移籍した京都っていうチームは、決してうまい選手とか代表選手とかが集まっているチームじゃないけど、90分間勝つためにファイトするチームなんだ』っていうのを見せたかった。選手、スタッフ、サポーター、ジェフのみんなに見せたかった・・・。
でも、実際はああいう試合で、『おまえが移籍したチームはこんなものか』って思われてるんじゃないかって思うと、悔しくてたまらなかった」
今季初勝利を挙げたジェフは、選手とサポーターがいつまでも勝利の余韻を楽しんでいた。初めて入ったフクアリのアウェイロッカールームで、いつまでも響くジェフサポーターの声援を、勇人はどんな思いで聞いていたのだろう。

移籍後リーグ初ゴール
'08年7月16日、祇園祭宵山の夜。いよいよ夏の到来を迎え、京都独特の蒸し暑さの中、西京極では京都対鹿島の一戦が行われた。鹿島はキャプテンの小笠原を中心に連覇を狙う強豪。平日のナイターゲームにも関わらず、15,081人の観客がスタンドを埋めた。
前半11分、柳沢が先制ゴールを決めると、一気にスタジアムが沸いた。鹿島から移籍してきた柳沢が、古巣との初対戦で挙げたゴール。しかし、そのわずか10分後、小笠原が柳沢から強引にボールを奪うと、一気にチャンスを作って、試合は振り出しに。
だが、後半終了間際、勇人がミドルシュートを決め、試合を決定づけた。
2-1の勝利。
勇人は、試合前日、監督との話し合いの中で、キーマンになる小笠原へのマークを自ら買って出たという。
「強いチームの起点となる選手を自分が引き受けることは、やりがいのあることだと思って監督に話したら、『お前に任せようと思っていた』と言ってくれました」
チームの勝利のために戦う勇人、そして勇人を信頼する監督、仲間。
勇人は、試合後のヒーローインタビューでこう語った。
「今日はサポーターのためはもちろんですけど、ヤナさん(柳沢)のためにも勝ちたかったんです」
その言葉に、スタンドから大きな拍手が起こった。勇人は誰よりも柳沢の気持ちが分っていた。選手それぞれの古巣への思いは深い。
ゴールを決めた勇人は、わき目もふらずゴール裏のサポーターの元へと走って行った。
「サポーターのみんなは辛いときも応援してくれたから・・・。ゴール裏までちょっと遠かったですけどね(笑)。京都に来てリーグ初ゴールがホームで、しかも相手が首位の鹿島でうれしかった」
ゴール裏まで走って行ったのには、“鹿島をイラ立たせるため”という作戦もあったという。だが、何よりも、サポーターと共に喜びを分かち合いたいという込み上げる思いが弾けたのだろう。今日の勝利は、詰め掛けた多くのファン・サポーターの力も大きかった。そして、試合に勝利した瞬間、ファン・サポーターは、両手を挙げて喜び、心の底から笑顔になった。

ゴール裏のパフォーマンス
勇人は、西京極ゴール裏で両手を前に突き出し、サポーターと共に勝利の喜びを分かち合う。
ドイツのブンデスリーガでよくやるパフォーマンスなんですけど、ジェフのときに仲の良かったマリオ・ハースっていうオーストリアの選手がいて、やろうって言ってよくやってたんです。
京都に来て、京都は試合が終わったときに、勝っても負けてもすごいあっさりしてるなって思った。見に来た人も、“お客さん”っていう感じがして、さみしいなって思った。『俺たちは一緒に戦っているんだ』っていう雰囲気で、もっとチーム一丸となって、勝ったときはみんなで喜んで、負けたときはみんなで悔しがって、そんなチームになるのが一番だと思うから、何かやりたいなって思って始めたんです。
なかなかみんなできれいに合わないから、練習しようっていう声もあるんですけど、別に合わなくてもいいんですよ。勝ったときは嬉しいから、スタンドにいるみんなとピッチにいる自分たちとで、ワーワーできたら満足。合わなくても、きれいじゃなくても、その瞬間一緒に喜べたらいいと思う。どうしたらいいか分かんなくても、とりあえず一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです」
サッカー専用スタジアム
「サポーターの人たちも思いっきり喜びたいときがあると思うんですよ。でも、スタンドとピッチが遠くて、物足りなさがあるんじゃないかな。ジェフは、スタジアムがフクアリに移転してから一気にお客さんが増えて、街と一体化して、すごくいい方向に行った。新しいサッカー専用スタジアムができたら、京都もそうなると思うんですよね。行動に移さないと変わらないし、一人が行動してもなかなか進まないけど、みんなでやればデカイものになるから、京都も少しずつ動いてくれるんじゃないかなって思うんです。みんなで、京都市や京都府、企業にもっとアピールしていければなって思う。せっかく、京都っていう、日本でも有名な街にプロチームがあるわけだから、このままではもったいない。何かやっていきたいし、もっと魅力あるチームにならないと。ぜひ、皆さんの力を貸してください。俺たち選手は、結果を残さなきゃいけない、ピッチで。頑張ります!
2008.7.19 photo & text by Noriko Nagano
◎新生サンガに間違いなく新しい風を吹き込んでくれた勇人に対し
感謝の気持ちを送りたいと思います。
ありがとう。そしてこれからもヨロシク。。。
シリーズを通してお付き合い下さった皆様にも感謝申し上げます。
どうぞこれからも佐藤勇人共々新生サンガをよろしくお願い致します。

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