吾輩は球である。

  • サトコ
    2006年07月04日 13:25 visibility95


吾輩は球である。
名前はまだ無い。

ふっとさるとか言う西洋の蹴鞠のようなものの球らしい。

表参道ノ丘の小洒落た家具雑貨店に、
結婚した友人夫婦への贈答品を探しに訪れた、
大きい女と小さい女の滑稽な出で立ちの二人組に見初められた。
いや、先に見初められたのは隣にいた吾輩の兄上(水色)のほうだ。

大女「ねね、大ちゃん(旦那)サルやるからこれいいと思わない?」
小女「思〜う!」
大女「いいなあわたしもピンクのほう欲しいなあでもなあ。」
小女「買っちゃえ!わたしもコレ(ipodのマグ型スピーカー)欲しいし。」
大女「お互いプレゼント交換しよか!だったら迷うことなく買えるね!」

そうやって吾輩は丁寧に包装され、小女から大女に手渡された。

大女「名前つけたいなあ。」
小女「猿子?フト子?」
大女「ネーミングセンスが微塵もないなお前。」
小女「(鼻息荒げて)フサ子!」
大女「赤軍派に感化されたらどうすんの!ボール爆弾とか!」

この平成の世にフサ子はないぞ小女…。
そして、余計なことまで考えすぎだぞ大女…。
だうやら、揃いも揃って白痴のようだ。可哀相に。

伯剌西爾(ぶらじる)っぽい名前をつけたいと大女は考えあぐねた。
しかし悲しいかな、大女は伯剌西爾女の名前など知らない。

大女「ロナウ子?ロナウジー子?ロジー子?集約してジー子?」

ええー!吾輩、色白なのに!

大女「…決まるまでロベル子=カルロス(仮)でいっか。」

ええー!ピンクのほっぺがトレードマークなのに!

そんな経由で吾輩は新幹線の荷台に乗り大女の住むキョウトに来た。 兄上は明日あたりトウキョウにて新しい主人夫婦に出会うだろう。
トウキョウとキョウト(トッキョキョキャキョク)、
名前がよく似ているが東と西に離れた土地で各々の生活が始まる。

大女はいつか友人の亭主と一試合交える約束をしているらしい。
その時までしばしお別れです、兄上。

その夜、大女は吾輩を布団に招きいれ、一緒に眠りについた。
しかし接吻されるわ、頬ずりされるわ、実に暑苦しい女だ。


やめてくれ、吾輩にはソッチの趣味はない。


















































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