「巨魁」より: 結果か過程か?

「清武の乱」について、ナベツネさんなりに、「原監督と清武GM両方に責任を取らせようとした。」けれども、そのやり方を清武さんが我慢できなかったことが「巨魁」から明らかになりました。当時の個人的な推定が、結構当たっていたなというのが私の印象です。

原さんは、ナベツネさんに対する2011年シーズンの報告で「(自分には)采配ミスはない。」とナベツネさんに訴えたそうですが、ナベツネさん自身はそれを信用していなくて「采配ミスで負けた試合がたくさんある。」と思っていたそうです。ただ、原監督を切ると菅野が獲得できないから、原監督は切れない。したがって、原監督をコントロールできるヘッドコーチが必要で、原監督の口から「江川」という言葉が出たのを幸い、「江川ヘッドコーチ」を思いついたとのこと。表向きは原監督をたてるために、清武GMを降格させる必要があるということで、肩書きは降格させるが、GMがすべき実務は引き続き清武さんにやらせる上に、清武さんの定年延長や1-2年後の球団社長昇格まで示したとのこと。

 結果だけなら、清武さんにとっては悪い話ではありません。むしろ良い話でしょう。ただ、それは、全くのナベツネさんの独断によって行われるわけで、そういう「専制政治」を排除するシステムを一生懸命作ってきた清武さんとしては我慢ならなかったということになります。
ナベツネさんにしたら「精一杯気を配ってやったのにおれに逆らいやがって」と思っているだろうし、清武さんにしたら「せっかく作ったシステムも、ナベツネの鶴の一声でつぶされる。この約束だって反故にされるかもしれない。」という危機感があったのでしょう。

 加えて、それまで、何度も、ナベツネさんの思いつきや物忘れの尻ぬぐいをさせられてきてきたストレスや、伝統的な読売政治部(ナベツネさん)と社会部(清武さん)の確執、東大卒エリートで本社生え抜きから読売トップにまで上り詰めたナベツネさんに対する、私大出身で読売地方局から本社社会部に入って苦労して上がってきた清武さんの反発もあったように思います。

 ただ、結局清武さんの行動は、巨人を弱くしました。「巨魁」での清武さんの言い分を信用したとしても、巨人ファンとしては肯定できません。

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