リリーフとして安定した成績を続けるための年間登板数や投球回数の上限は?(7/2, 312,775,野球2,総合4)
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元大阪爺
2012年07月02日 22:57 visibility2851
リリーフとして、安定した成績をおさめて14年目を迎える中日:岩瀬投手の2011年までの成績は以下の通りです。
年 登板 勝 負 S H 回 自責点 防御率 年齢
1999 65 10 2 1 -- 74 13 1.57 25才
2000 58 10 5 1 -- 80 17 1.9 26才
2001 61 8 3 0 -- 62 23 3.3 27才
2002 52 4 2 0 -- 59 7 1.06 28才
2003 58 5 2 4 -- 63 10 1.41 29才
2004 60 2 3 22 -- 64 20 2.8 30才
2005 60 1 2 46 2 57 12 1.88 31才
2006 56 2 2 40 5 55 8 1.3 32才
2007 61 2 4 43 3 59 16 2.44 33才
2008 51 3 3 36 5 49 16 2.94 34才
2009 54 2 3 41 1 46 11 2.12 35才
2010 54 1 3 42 3 48 12 2.25 36才
2011 56 0 1 37 7 48 8 1.48 37才
S(セーブ数)を見てもわかるように、2004年から岩瀬投手は中継ぎから抑えに代わりました。H(ホールド)が記録として残るのは2005年からなので、それ以前のHは空白になっています。
1999年~2011年の13年間の平均の登板数は57試合で投球回数は59回です。平均の防御率は2.03というすばらしい数字です。したがって、「年間で、60試合以下、60回以下」というのが、岩瀬投手のような強靱な体を前提にした上での「リリーフセーフゾーン」の1つの目安になります。
さて、そのような岩瀬投手が、明らかに成績を悪化させた年があり、それが2001年です。防御率がこの時だけ3点台になります。前年である2000年は「58試合、80回1/3」であり、試合数は60試合以下ですが、登板回数が80回を越えています。そして、80回を越えたのはこの年だけであり、次の年以降は回数が65回以下に抑えられ、防御率も3点を越えることはありませんでした。したがって、「年間80回以上」というのは、岩瀬投手の体ですら「危険域」であっ
たことがわかります。
とりあえず、岩瀬投手の場合は、、
セーフゾーン:年間で60試合以下・60回以下
危険ゾーン:年間80回以上
と考えて、他の投手を見てみましょう。リリーフで長く活躍している投手というと次は阪神の藤川投手が思い浮かびます。藤川投手が本格的にリリーフとして活躍しだした2005年から2011年までの7年間の成績は以下の通りです。
年 登板 勝 負 S H 回 自責点 防御率 年齢
2005 80 7 1 1 46 92 14 1.36 25才
2006 63 5 0 17 30 79 6 0.68 26才
2007 71 5 5 46 6 83 15 1.63 27才
2008 63 8 1 38 5 67 5 0.67 28才
2009 49 5 3 25 3 57 8 1.25 29才
2010 58 3 4 28 5 62 14 2.01 30才
2011 56 3 3 41 5 51 7 1.24 31才
藤川投手は2006年途中から抑えに転向しました。7年間の平均登板数は63試合で平均登板回数は71回、防御率は1.26というすばらしさです。藤川投手の場合は成績が大きく悪化した年がありません。2005年~2007年は、岩瀬投手の場合の危険ゾーンである80回程度かそれ以上投げています。しかしながら、2008年以降は、年間登板回数が70回以下に抑えられています。ということで藤川投手の場合は
セーフゾーン:年間で65試合以下・70回以下
危険ゾーン:不明
ということになります。藤川投手の場合は、岩瀬投手より若い分、セーフゾーンが若干高くなっているような感じですね。
続いて、藤川投手とJFKをなした、J.ウイリアムス投手と久保田投手を見てみましょう。
Jウイリアムス
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率 年齢
2003 52 1 1 25 -- 52 9 1.54 31才
2004 51 2 4 14 -- 46 17 3.28 32才
2005 75 3 3 0 37 76 18 2.11 33才
2006 47 3 2 3 26 47 10 1.9 34才
2007 60 1 2 0 42 65 7 0.96 35才
2008 55 5 4 5 25 55 19 3.09 36才
2009 31 1 1 0 11 27 11 3.58 37才
ウイリアムス投手の場合は、2004年と2008年以降に成績が悪化し、その後引退しました.2003年は「50試合、52回」、2007年は「60試合、65回」です。ウイリアムス投手の場合
セーフゾーン:不明
注意~危険ゾーン:年間で50試合以上・50回以上
ということでしょうか。
久保田投手も、リリーフに専念した2005年以降を抜き出すと
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率 年齢
2005 68 5 4 27 3 80 19 2.12 24才
2006 47 5 7 16 2 50 22 3.96 25才
2007 90 9 3 0 46 108 21 1.75 26才
2008 69 6 3 0 31 85 30 3.16 27才
2009 1 0 1 0 0 2 4 15.43 28才
2010 71 6 3 0 28 81 29 3.20 29才
2011 23 1 2 0 6 21 13 5.40 30才
久保田投手が成績を悪化させたのは2006年と2008年以降です。2005年は「68試合、80回」、2007年は「90試合、108回」でした。久保田投手の場合は
セーフゾーン:不明
危険ゾーン:年間で、70試合以上・80回以上
ということになります。
以上を整理すると、危険ゾーンとして「年間80回以上」という数値が浮かび上がってきます。この条件を頭において、昨年、中継ぎ投手で初めてMVPを取り、今年は故障してしまった中日:浅尾投手の成績を見てみます。リリーフとして活躍しだした2008年以降の成績です。
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率 年齢
2008 44 3 1 1 12 50.1 10 1.79 24才
2009 67 7 9 6 33 113.1 44 3.49 25才
2010 72 12 3 1 47 80.1 15 1.68 26才
2011 79 7 2 10 45 87.1 4 0.41 27才
浅尾投手は、2009年は先発もやっていますので判断が難しいですが、2010年、2011年と、リリーフとしての登板数が70試合を越え、登板回数は80回を越えています。2009年も先発があるとはいえ、80回をはるかに越える登板をしています。
以上のように、近年の歴代のリリーフ鉄腕投手をみて
リリーフとしての危険ゾーン:年間80回
というのはかなり使えそうな目安であることがわかります。
そして、ここからが巨人ファンとしての本題です。「山口は大丈夫か?」ということです。
山口が、リリーフとして本格的に活躍しだした2008年以降の成績は
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率 年齢
2008 67 11 2 2 23 73 19 2.32 25才
2009 73 9 1 4 35 78 11 1.27 26才
2010 73 8 3 5 20 88 30 3.05 27才
2011 60 5 1 2 25 61 12 1.75 28才
山口は2010年は一時先発もやりましたから、この年の88回という登板回数は考慮しません。先発転向の影響もあるでしょうが、明らかに成績が下がったのは2010年で、その前年の登板は「73試合、78回」です。2011年は、右打者への被打率が上がったこともあって、「60試合、62回」の登板にとどまりました。
そして今年はご存じのように絶好調で
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率 年齢
2012 35 0 0 2 22 38 1 0.23 29才
現在、巨人の消化試合は68試合ですから、これを144試合換算する(144/68をかける)と
年 登板 勝 負 セーブ H 回 自責点 防御率
1年換算 74 0 0 4 47 82 2 0.23
となって、危険ゾーン:80回に入っていることになります。逆に(1年だけですが)セーフゾーンは:年間で60試合・60回以下ということになります.
現状の登板回数は、今年1年耐えられないようなペースではありませんが来年以降のことを考えた場合、首脳陣には自重してほしいものです。60回とはいいませんが、何とか70回程度までに抑えてほしい。
まあ、「確実に抑えてくれる投手」を手元に置きながら、それを目前の試合に投入しないというのは非常に困難ですけどね。選手の長期的な体調を大切にし、有能な先発・リリーフ投手がたくさんいた落合中日ですら、浅尾投手を酷使してしまったのですから。
ここまで読んで下さった読者の方に感謝します。「そんな結論なら、別に長々と分析されなくても分かっているよ」と思われた方はごめんなさい。
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