2012年リーグ戦巨人総括-4 采配

ここで取り上げるのは、個別の試合での采配ではなく、シーズンを通しての
采配(戦略)である。

第一に評価したいのは、阿部が中心のチームである事を内外に明示した事である。
自分が親分になる事で周囲に気配りが出来る上に自分の実力も発揮出来る人材が
稀にいるが、阿部がまさにそのタイプなのだろう.昨年終盤から、原さんは自身
への求心力の低下を自覚して、阿部を中心に置くようにしていたが、今年はそれ
を継続・徹底した。意気に感じた阿部は、出塁率(四球を選ぶ事)を含めて自己
最高の打撃成績をあげてチームを引っ張った。ただ,阿部への依存度が高い分,
阿部が怪我をしたらどうするという課題はある.


次は、投手陣については川口コーチに任したことである。尾花コーチが抜けて
以降、投手への口出しが目立っていた原さんだが、今年の新人投手の大胆な
起用は最近数年の巨人になかったもので、明らかに川口コーチの力が増大した
事を意味している。西村の抑え転向は、今年の最高の采配のひとつだが、これも
川口コーチの手柄かもしれない。

第三は、橋上コーチの活用である。清武さんが連れて来たコーチということで、
原さんが最初から橋上コーチを認めていたかどうかは疑問だが、チームが波に
乗った5月以降は彼を活用していた事は明らかだろう。四球数の増大やセーフ
ティスクイズの利用等、今年の巨人は点の取り方の多様化が目立ったが、それ
にも橋上コーチの貢献は大きいと思う。

第4に評価する事としては、勝つ事に徹して,阿部以外の選手を「コマ」と
みなし,コマとして使えるかどうかの1点で選手起用をしたので,起用の仕方が
(ある意味コマとしての)実力本位になり公平になったことがあげられる.この
ような選手の使い方については,賛否両論あるだろうが,少なくとも,去年
よりは選手起用が公平になったことについては評価すべきと思う.

ここまで見てくると、2010ー2011年とワンマン采配が目立った原さん
だったが、今年は、(特に1-3については)権限を適切に委譲しているように
見える。回転打法に対する過剰なこだわりもなくなったようだ。自己への過信
による弊害がなくなったのは大変結構な事であるが、それが3-4月の不成績や
自身のスキャンダルのせいだとすれば怪我の功名という所か。

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