ソフトバンクの戦力が増大する一方巨人の戦力が低下した理由は何か?(その3)

理由3:主力選手を2軍で育成するという発想がなく,その2軍を知らない主力選手が1軍監督になる球団

 巨人の現在の「枢軸」の阿部・村田・長野・坂本の内,阿部・長野はドラ1(または自由枠)で入団1年目からレギュラー,坂本もドラ1で入団2年目からレギュラー,村田は横浜の主力選手だったのをFAで獲得したものです.この例からわかるように,そもそも「主力選手を2軍で育成する」という発想が巨人にはありません.アマチュアのスター選手を獲得して1年目から使うか,他球団の主力選手をFA等で獲得するのが「伝統」になっています(他の例: 澤村・菅野・高橋由・松井,杉内・小笠原・ラミレス).清武元GMの「2軍重視」そのものが,「巨人の伝統に反する事」でもあったがために,清武元GMがいなくなるとあっさり元に戻ってしまいました.
 加えて,巨人は,その2軍を知らない「主力選手」が「監督」になるという伝統があります.例えば,原監督は,ドラ1で入団し1年目から1軍のレギュラー選手でした.前任の堀内さんもドラ1で巨人に入り1年目から1軍の主力投手でした.その前任の長嶋さんも1年目からレギュラー,さらに前任の藤田さんも1年目から主力投手,更に前任の王さんも1年目からほぼレギュラーでした.

 他方,ソフトバンクの工藤監督はドラ5で西武に入団して主力投手になったのは4年目,前任の秋山さんもドラフト外で西武に入団して主力選手になったのは3年目でいずれも「2軍を知っている」監督さんでした.入団時に1軍レベルにあった人と,2軍で苦労して1軍レベルになった人では,若手選手に対する忍耐度に差がでるのは当然だと思います.

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