#203 中学校の教育現状⑥ ~町の財政問題と教育環境~
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ペスカドーレ
2012年06月20日 23:13 visibility1080
来月から始まる中体連地区予選に向けて、雨季を利用して過去のビデオでも見せるため、記録していたDVDを探していたところ‥以前記録していたDVDが目につきました。
偶然見つけ出したものは、5年前にNHKの特番で「長洲町」が取り上げられていたものでした。
先日から5回にわたって、長洲町の教育現状について取り上げてきましたが、町の財政問題と教育環境は切っても切り離せませんので…「熊本県長洲町」などを例にあげ、当時問題視された自治体の財政と現状についてふれ、本テーマの最後にしたいと思います。
「長洲町」は地場産業として『金魚産業』や『ユニバーサル造船所(私が指導する長洲中学校サッカー部がホームグラウンドとして使用させていただいています)や『名石浜工業地帯』があり、名石浜工業地帯にはLIXIL(リクシル)の日本最大級のメガソーラー(こちらも最近全国版ニュースで取り上げられていました)などがあり、この長洲町に在住している私としては、過ごしやすく大好きな生まれ育った町です。
しかし、自治体として大きな財政問題をかかえています。
みなさんも覚えてらっしゃると思いますが、遡ること5年前(2007年)にメロンで有名な「北海道夕張市」が財政破綻し、“財政再建団体”に指定されました。
夕張市は、炭鉱産業を中心に炭鉱業が盛んだった昭和30年代後半のエネルギー革命前までは、活気あふれる自治体でした。
しかし、地場産業の衰退が深刻化し、ヤミ起債による財政危機が表面化すると‥財政赤字が巨額に上ることから、自主再建は困難であるとして財政再建準用団体の申請が2006年に行われました。
平成に入って以降、福岡県赤池町(現在の福智町)以来2例目の財政再建団体となった訳です。福岡県福智町は1992年度に財政再建団体となり、2001年度に再建は完了していますが、赤池町と夕張市はともに旧産炭地域でした。
「長洲町」の隣接する「荒尾市」も夕張市同様、旧産炭地域でかつては栄えていた自治体で、夕張市のようなヤミ起債による財政危機はなかったものの、その影響が長洲町にも及んでいる部分もあります。
ただ、長洲町の場合は少し違っています…
景気対策に連動した『下水道事業』のツケが重くのしかかり、財政破綻の危機が指摘されました。現在は、行政や住民の努力もあって、財政健全化の目処も立ってきたとは聞きますが、予断は許されない状況に変わりはありません。
北海道夕張市の財政破綻後、地方自治体財政健全化法の制定で、多額の借金を抱える自治体は、「地方税」や「使用料・手数料」の増額や補助金削減など、次々と住民に負担増を求め始め、2007年4月にNHKが特集番組として「大返済時代 ~不健全な財政の果てに~ 」というテーマで、島根県(医療費補助削減)と長洲町(下水道事業)を取り上げました。
番組では、当時の町長が下水道事業をこう振り返っていました。
「景気対策のため国の施策・助成に乗っかり下水道工事を進めた。普及率は上がり関連事業もやって(下水処理水の水質をアピールするため金魚の展示館を大規模に建てた)一時は国から模範であると表彰され、町長として各地を講演して回った。借金は増えていたが工事に歯止めが掛からず、開発が進むであろうと期待して畑の地域にまで下水道を引いた。借金返済が追いつかないのに、さらに借金を重ねながら施工していた。あげく開発は進まなかった。」
報道された自治体では、固定資産税や国保税の引き上げ、下水道使用料など公共料金の引き上げ、補助金のカットなど、大幅な住民負担増となった。
いずれの自治体でも職員給与の削減など努力もしたが、財政の尻拭いを強いられた住民のツケはあまりにも大きい。
特番の終盤に長洲町民がこう語っています。
「下水道を含め行政のやることについて、議会は歯止めをかけず住民の多くも関心を持たなかった。」
「本当にこれでいいのか?という意識が足りなかった。」
「住民が行政にしっかり目を向けてこなかった。」
「何を守り、何を削るのか考えるべきだ…」
不健全な財政のツケを最終的に「住民が払わなければならない」という現実、住民の声はTVの向うから「あなた達の町は大丈夫ですか?」と問いかけているようです…
皆さんはこのような現実をどう考えますか?
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