#202 中学校の教育現状⑤  ~国が進める少人数学級~



 

近年、教育格差を引き起こしている要因に、義務教育の質が低下している点が指摘されていると聞きます。

 

 

確かに質の高い公教育が保障されていれば‥子どもを学校の授業の後に、学習塾に通わせなくとも良いはずである。

 




































 

 

先の日記③で述べた少人数学級数の影響による「片肺教師」も質の低下の一因である。

 

 

他にも、子どもの理解力にバラツキがあるため、授業を進めて行くと授業について行けなくなる子どもが出てくる。こうした子どもをなるべく取りこぼさないように、学力が低い層を基準にして授業を進めていく傾向にも要因があるだろう。

 

 

この改善策として、文部科学省が平成13年度から平成17年度までの5年計画で、総数26,900人の教職員の改善を図る「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」を実施しました。

 

 

この計画は“子どもたちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため、一律に学級編制の基準を引き下げるのではなく、算数や理科などの教科に応じて、20人程度の少人数指導や習熟度別指導が実施できるように計画されたもの”でしたが、学級編制基準が下がっても人(教員・子ども)の絶対数が足りないために、長洲中学校のように少人数で少学級数に反映した「教員まで少人数となる矛盾」が生じてしまうのです。

 

 

少人数にしたからといって学力面でのプラス効果は限定的だとする後の研究結果もあり、日記④のように「財政難を象徴する臨時採用教師の増加」と「教員の絶対数不足」という現状を招いているのでしょう。

 

 

確かに、少人数にすれば‥子どもの発言や発表機会は増えるのかもしれません。しかし、必ずしも子どもたちの学習意欲が高まるとは言えないと思います。むしろ子どもたちの理解力の差が学級内で鮮明になり、内容について行けずに意欲を失い、教育格差が余計に拡がる可能性もあると思います。

 

 

もしこの格差に応じたレベル分けをするのであれば、さらに教員が必要となります。

 

 



つまり、定員数を削減すれば行き届いた教育ができて、現場で起きている様々な問題が軽減されるという単純な話ではない訳です。



 

 

国が進める少人数学級と教員数の増員も急務なのかもしれないが、団塊の世代が定年を向かえて、経験豊かな教員が退職し、経験の浅い若手教員や増加している臨時採用教員との入れ替わりが激しくなっているだけに、先の日記③で述べたような、子どもや保護者との人間関係に関する悩みを抱え、精神的に追い込まれて中途退職してしまう教員を減らすための支援環境や教師の質を改善していくことも重要な課題でしょう。

 

 

国がこうした少人数学級を推進している背景には、日記④の正規教員数の増員もしくは維持するための財源確保、という教育関係者の思惑もあるのかもしれません。

 

 

教職員定数は、学級数によって配分されるため、編制上限を引き下げれば、教職員数を増員する必然性が出てくる。増員できなければ長洲中学校のような悪循環が生じてしまう。

教職員の給与額は、3分の1が国、3分の2が都道府県で負担しており、少人数学級にして増員すればコスト(税金)がかかることになります。

 

 

 

少人数学級の導入と教職員を増員すべきとの根拠に、米国や欧米などと比較して日本の教育水準が国際水準を下回っている点があげられます。

 

 










































 

 

しかし、こうした国々は、公用語を話せない移民や外国人労働者などが多く、言語教育に対するケアが必要といった問題があり、少人数学級で教員数を多く充てざるを得ない事情があります。

 

 

日本でも、理数系科目や外国語教育、特別支援教育といった特定教育の充実や心理カウンセラーの配置など、教職員の配置をもっと改善していく必要はあるが、そもそも欧米とは置かれた環境が異なるだけに、本当に教職員数を欧米水準にまで引き上げる必要性があるのだろうか?疑問に感じるところでもあります。

 

 

特にアメリカでは、少人数学級(30人以下学級)による財政圧迫と、教師の年功序列型給料体系が問題として取り上げられているだけに、日本の現状に即した教職員配置のあり方をしっかりと模索すべきではないでしょうか?

 


















 

 

日記①や③で、少子化が進むなか、学校の統廃合が進んでいない地方(長洲町)の現状を取り上げましたが、学校は地域コミュニティの核となっており、防災拠点にもなっています。

 

 

小中学校の統廃合や編成は、自治体の財政的都合だけで進めるべきではありませんし、統廃合した結果、子どもの通学にかかる負担(親の送り迎え、バス路線維持などの負担)も考慮しなければなりません。

 

 

行政は、地域社会で子どもたちを育む力を維持しながら、地域の実情に即した学校教育を行っていくための環境整備を、決断を引き延ばし続けるのではなく、しっかり検討を重ね、勇気を持って実行するべきだと思います。


 
























 


長洲町の地理や校舎などの設備、生徒数の現況と推移から総合的に考えれば、長洲町にとって『学校の統廃合』は急務であると強く感じるのですが…










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