青雲の梯

”青雲の梯”  高任和夫著  講談社
経済小説が得意な筆者ではあるが
 本著のような時代小説も書いているようだ。
江戸中期、格式が優先される幕臣のなかで、
 下級武士上がりの田沼意次が改革を成し遂げようとする苦悩は
  既得権益者がはびこる現代に通じるものがあると言える。
 農民からの税に頼らず、貨幣経済を整え、外国からの収入も得て
  幕府の財政を大幅に改善した。
 賄賂を取った意次と言われていたが、最近は見直されているようだ。
  意次の悪い話は後の幕臣たちによる可能性が大かな。
一方で松平定信の方は辛口に描いている。
 意次と対比されるように定信は厳しすぎる面が欠点。
  飢饉対策、厳しい倹約令などでそれなりの成果は得たが
   林子平を処罰したり、蝦夷地を放置したりで
  結局短期間で老中職を解かれたのは止むを得ないだろう。
 

 

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