水神

”水神(上)(下)”  帚木蓬生著  新潮社
筆者の作品は初読みだが、内容の素晴らしさに感動させられた。
物語は打桶に一生を捧げる伊八と元助の姿から始まる。
 ほぼ、ノンフィクションと言って良いでしょう。
水に恵まれない筑後川流域の五庄屋が堰を作るために
 自らの財と命をかけて立ち上がる上巻。
最初は反対していた他の村の庄屋達も
 五庄屋の不退転の決意には負けてしまう。
そして下巻ではいよいよ工事が始まる。
 藩からの資金援助はなく
  費用の多くは五庄屋が身代を賭けることになる。
   その上、何か事故があれば五庄屋が命を懸けることになっている。
百姓たちの様々な苦労を全巻に亘って訥々と述べてあるが
 その代表である庄屋達の苦労が偲ばれる秀作と言える。
  そして事故は起こり、その時とった老武士の行動が素晴らしい。
 人として正しく生きることの大切さが描かれているところに感動させられる。
現代技術によっても防ぎ切れてない大型台風による河川の氾濫と
 その影響を多大に受ける農業は今後どうなるのだろうか?

 

 

  

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