過去日本のエースでさえプレミアでインパクトを残せず

  • 2012年08月25日 01:52 visibility97
稲本がアーセナルと契約した01年には、西澤明訓、川口能活の2選手もイングランドの地を踏んでいる。だが、結果から言うと、2人ともプレミアリーグのピッチに立つことはなかった。

 スペインのエスパニョールから移ってきた西澤は、当時プレミアリーグ復帰1年目だったボルトンに加入。プレシーズンマッチでハットトリックを決めるなどアピールを続けたが、当時のチームにはマイケル・リケッツ、ディーン・ホールズワースなど4枚のストライカーがそろっており、出場機会が回ってくることはなかった。公式戦出場はリーグカップの4試合のみ。最初で最後のゴールは、デビュー戦でもあった2回戦のウォルソール戦。延長の末に4│3で勝利したこのゲームで、彼はスコアを3│3とする値千金のゴールを決めた。だが、リーグ戦では出場機会を得られないまま02年1月に母国へ戻った。

 日本人GKとして初めて海を渡った川口は、当時チャンピオンシップ(2部リーグ)に在籍していたポーツマスへ。加入1年目はリーグ戦11試合でゴールマウスを守り、日本人で初めてFAカップにも出場したが、レギュラーの座をつかむことはできず、控えとしての日々を過ごした。03│04シーズンにチームはプレミアリーグに昇格したが、自身はピッチに立てずデンマークのノアシェランに新天地を求めた。

 また、02年W杯に出場した日本代表チームで守備的MFを務めた戸田和幸も大会後にトッテナムと契約を交わしし、プレミアリーグに挑戦した。だが、清水エスパルスからやってきたこのハードマーカーも、リーグ戦ではわずか4試合の出場とさしたる印象を残すことなくオランダのADOへと去って行った。

 05年8月には、ボルトンに2人目の日本人プレーヤーがやってくる。当時、セリエAでの活躍により、すでに世界的スターになっていた中田英寿である。フィオレンティーナからのシーズンローン契約でやってきた司令塔は、加入直後こそレギュラーとして出場し、10月には初ゴールも決めた。だが、サム・アラーダイス監督が指揮を執った当時のチームといえば、長身選手を目掛けて後方から放り込むロングボールが戦術のすべてだった。ボールコントロールと組み立てのパスが長所だった中田の能力が生かされる環境ではなく、徐々にアラーダイス監督の信頼も失われ、出場機会が限られていった。在籍した1シーズンで公式戦31試合に出場したが、メディアの評価は総じて「インパクトを残せず」。シーズン終了後の完全移籍交渉もまとまらず、中田は06年夏に行われたドイツW杯でのプレーを最後に現役を退いた。

 中田がスパイクを壁に掛けたのと同じ夏、稲本もウェスト・ブロムウィッチからトルコのガラタサライへと移籍した。その後しばらくイングランドで日本人選手の名前を聞くことはなかった。ご存知の通り、イングランドは非ユーロ圏の選手にとって労働許可証の取得が難しく、三都主アレサンドロや宮本恒靖など、ビザの問題で移籍交渉がうまくいかず移籍すらかなわなかった例もあった。プレミアリーグは日本人選手にとって鬼門。そんな印象もあったかもしれないが、ドイツやオランダ、イタリアなど周囲の国々で日本人プレーヤーが徐々に増え、2010年南アフリカW杯で日本代表がベスト16進出を果たした頃には、挑戦の仕方も多様化していき、再び日本人がイングランドに現れるようになった。

 阿部勇樹はプレミアリーグのクラブではなく、チャンピオンシップのレスターに入団した。元日本代表監督イビチャ・オシムの愛弟子として知られた阿部は、南アフリカW杯で中盤のアンカーマンとして日本代表の躍進に貢献すると、その年の夏に浦和レッズからレスターへ移籍する。結局、彼はプレミアリーグのピッチに立つ前に帰国する道を選んだが、1部昇格を現実目標とする2部クラブからプレミアリーグを目指すという新しい選択肢は、後にサウサンプトンに加わり、今シーズンからプレミアリーグに挑戦する李忠成のキャリアへとつながっていくことになる。

 さらに、また違った道をたどったのが宮市亮だ。彼はJリーグのクラブを経由せずにイングランドへやってきた。中京大中京高校在学中に欧州各クラブのトライアルを受け、まさに自らの足でアーセナルとの契約を勝ち取ったのだ。2011年1月からの半年間をローン先のフェイエノールトで過ごし、昨年の夏にアーセナルへ戻ると、労働ビザの発行に必要な条件を満たしていなかったが、“特別な才能”を認められる形で労働許可を取得。半年後にボルトンへローン移籍し、プレミアリーグデビューを飾った。

 そして、李、宮市に続くのが香川である。セレッソ大阪時代にJ2で得点王を獲得した香川はドイツへ渡り、ドルトムントのブンデスリーガ2連覇に貢献した。リーグベストイレブンにも選ばれ、ドイツ国内でナンバーワンの攻撃的MFという評価を勝ち取り、まさに実力でアレックス・ファーガソン監督の興味を引き付けたのだ。日本のフットボールファンにとって、これほど誇れることはないだろう。



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