“香川の生命線”を勝ち取るための戦い

  • 2012年08月30日 06:35 visibility92
供給されなかった縦パス 

 一番の原因は連係不足、何より香川へ通されるべき縦パスが供給されなかったことだろう。

 

 香川の最大の持ち味のひとつはバイタルエリアにおける繊細なボールコントロール。ドルトムント時代には、そのタッチから数々の得点を演出し、同時に自らも得点を挙げてきた。

 

 しかしフルアム戦で香川に供給された縦パスは数えるほど。この日、セントラルハーフに起用されたトム・クレヴァリーとアンデルソンは、ヌリ・シャヒン(現リヴァプール)やイルカイ・ギュンドガンのようなゲームメイカーではなく、繊細なパスを通せるようなタイプの選手ではなかった。よって、中盤での展開力はものたりないものだったし、ファン・ペルシーも含めて前線の選手が反転して前を向けるような鋭い縦パスはないに等しかった。

 

 フルアムの守備陣がスペースを与えていなかったこともあるが、結果的に攻撃がサイドに偏り、香川の持ち味は生かされなかったと言える。サイドへ開き、パスを受けようとした時ですら、スムーズにパスが通されたシーンは少なかったのも気になった。

 


 

 もちろん、このチームにおいての香川のボールの受け方や戦術理解度も成熟していない。とはいえ、背後からパスが出てこなければ香川が生かされない可能性も十分にあると示唆する内容だった。そしてその原因は、根本的にパスを出せる選手がいなかったチームにおける問題と同時に、周囲からの信頼を得きれてはいないという香川の課題を浮き彫りにするものでもあった。

 

 繰り返すが、香川は順調なスタートを切った。新加入の選手が周囲と信頼関係を築くためには時間がかかるのもごくごく普通のこと。これから時を重ねるごとに周囲との関係は深まり、シーズン序盤の不安は杞憂に終われる可能性も十分にあるだろう。ただ、逆に言えば小さな歪は時が過ぎるごとに修復不可能な大きなものへと変貌を遂げていく。

 

 デビューは果たし、初ゴールは決めた。記録の上では申し分ないスタートを切った。だからこそ、次は信頼という見えない絆を紡ぐ必要がある。周囲からの信頼を勝ち取ればおのずとパスは増えるはず。そのパスの数が、香川の生命線だ。

 

 チームメートからも認められる存在となること。初得点を決めた今、それが香川の新たな“指標”となる。

 

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