悪いなりにも接戦に持ち込んだ伊藤

  • 2012年08月29日 12:18 visibility65
伊藤と添田はもはや新人ではない。以前であれば、グランドスラムの本戦は彼らにとって目標だったが、今はその段階を過ぎて、そこで一つでも多く勝ちたいともがいている。目標をクリアすることで感じられた喜びは一瞬で過去になり、また新たな欲が生まれて苦しむことの繰り返し。頂点に立てば立ったで、今度はそれを維持し続ける困難さに直面するのが勝負の世界。伊藤と添田はまた新たな壁を前に、自分を見つめ直していた。

 伊藤はオーストラリア期待のマシュー・エブデンに6-7、3-6、2-6で、添田は米国のトップ選手であるマーディ・フィッシュに6-7、6-7、3-6とストレートで敗れたが、伊藤も添田も、この敗戦で自分に足りないもの、あるいは欲しいものを感じたのだと試合後に話した。

 前週の大会中に体調を崩していた伊藤は、十分に回復し切らないままでの1回戦となっていたが、そんな状態の中でも何とか試合をまとめようとし、相手に接戦を強いた。伊藤は「悪い状態の中でも何とか競っていけた。もし状態が良ければ勝てただろうし、あるいは、もっと自分のレベルが底上げできていれば、悪い中でも勝てるようになる」と話した。

 テニス選手は習慣的に常に前向きな言葉で自分の気持ちを語る傾向が強い。場合よっては「何を甘いことを」と思う人もいるかもしれないが、毎週のように勝敗を繰り返しながら過ごす彼らにとって、負けた悔しさは忘れてはならないが、それを引きずらずに切り替えて、負けのなかから常に成長するためのヒントを探し続けるのも、彼らの生活の一部というのを理解する必要がある。

 伊藤は自分の底力のなさを素直に認め、それを上げて行くことを宣言したと言っていい。荒削りな状態ですでに結果を出してきたのが伊藤。足りないものを自覚した以上、彼は必ず上げてくるはずだ。

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