熱戦が続くユーロ2020で見逃せない注目のヤングタレント。2000年生まれ以降の逸材を総チェック! 中山淳 | サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人 6/15(火) 11:45

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    2021年06月15日 14:11 visibility87
2000年生まれの代表的ヤングスター

 コロナ禍の影響で1年延期されていたユーロ2020が開幕し、連日熱戦を繰り広げている。

 

 ユーロは4年サイクルで開催される「ヨーロッパ版ワールドカップ」。激戦区の予選を勝ち抜いた代表チームが繰り広げる大会のクオリティはW杯以上と評されるほどで、出場する24チームにはファン必見のワールドクラスが目白押しだ。

 

 その一方で、成熟の域に達したトッププレーヤー以外にも注目すべきポイントがある。それは、次世代を担う若きタレントたちの活躍だ。果たして、この大会をきっかけにしてスターダムにのし上がるのは誰なのか?

 

 ここでは2000年生まれ以降の世代から、注目のヤングプレーヤーを紹介する。

 

 まず、今回のユーロに出場する2000年生まれの選手のなかで、すでに世界にその名を知らしめている選手が、大会3日目に行われたクロアチア戦(グループD)にもスタメン出場を果たしたイングランド代表MFのフィル・フォーデン(21歳)だ。

 

 マンチェスター・シティ所属のフォーデンは2020−21シーズン、ワールドクラスがひしめく厚い選手層の壁を乗り越えてレギュラーを奪取するなど、ワンランク上のレベルへと飛躍。クラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝戦進出の原動力となったばかりか、プレミアリーグ優勝に大きく貢献し、年間最優秀ヤングプレーヤー賞を受賞した。

 

 シティを率いる名将ジョゼップ・グアルディオラも惚れ込む天才MFの特長は、抜群のテクニックと卓越した戦術眼にあり、中盤から前線の複数ポジションでその才能を発揮できる点も大きな強み。スピードと左足シュートという強力な武器も兼備し、相手にとってはやっかいなタイプだ。

 

 2020年9月のアイスランド戦でデビューした代表では、いきなりピッチ外の規律違反で処分を受けるという"やんちゃ"な一面も見せたが、復帰後は主軸として堂々とプレー。今年3月のW杯予選でも4−3−3の両ウイングに対応する柔軟性を見せるなど、今回のユーロではイングランド代表のキーマンのひとりになることは間違いないだろう。

 

 同じく、マンチェスター・シティでプレーするスペイン代表FWのフェラン・トーレス(21歳)も、2000年生まれの注目株だ。

 

 昨年9月に代表デビューを果たしたばかりのフェラン・トーレスのキャップ数は、すでに11を数える。2試合目のウクライナ戦で初ゴールを決めたことも驚きだが、同年11月のドイツ戦(UEFAネーションズリーグ)ではフル出場を果たしたうえに、ハットトリックを記録。ルイス・エンリケ代表監督も全幅の信頼を置き、4−3−3の右ウイングとしてあっという間に代表のレギュラーの座を確保した。

 

 所属クラブではまだ半レギュラーだが、プレミア初挑戦となった2020-21シーズンは24試合に出場して7ゴール2アシストを記録するなど、上々のパフォーマンスを披露。初戦のスウェーデン戦でもスタメンを飾るなど、目下急成長中のフェラン・トーレスが今回のユーロでブレイクする可能性は十分にある。

 

 そのほかでは、イングランド代表MFのジェイドン・サンチョ(ドルトムント/21歳)、ウェールズ代表DFのイーサン・アンパドゥ(シェフィールド・ユナイテッド/20歳)、スウェーデン代表FWのデヤン・クルゼフスキ(ユベントス/21歳)、トルコ代表DFのオザン・カバク(リバプール/21歳)、チェコ代表DFのダヴィド・ジマ(スラヴィア・プラハ/20歳)といったタレントも、注目の2000年生まれとして挙げておきたい。

2001年世代で台頭した注目DF

 日本の久保建英と同世代にあたる2001年生まれの注目株は、オランダ代表DFのユリエン・ティンバー(19歳)と、ウェールズ代表DFのネコ・ウィリアムズ(20歳)だろう。

 

 オランダ代表の初戦となったウクライナとの一戦で、3バックの一角としてスタメンを飾ったティンバーは、もうすぐ20歳の誕生日を迎える名門アヤックスの逸材。身長は179cmと決して大柄とは言えないが、クレバーなポジショニング、足元のテクニック、スピードがセールスポイント。ウクライナ戦では19歳とは思えない落ち着いたプレーを見せ、88分までプレーした。

 

 所属のアヤックスでは、今シーズンの開幕戦から出場機会を得て、リーグ戦20試合、ヨーロッパリーグでも5試合に出場。その成長ぶりを見たオランダ代表のフランク・デ・ブール監督が、本番前の強化試合で抜てき。6月2日のスコットランド戦で代表デビューを果たしたばかりのニューカマーだ。 

 

 ユトレヒトに移籍した双子の兄弟クィンテンも、もともとはアヤックスのアカデミー出身。現役時代にアヤックス育ちの双子プレーヤーとして名を馳せた指揮官が、ティンバーに大きな期待を寄せるのもうなずける。

 

 一方、初戦のスイス戦では出場機会に恵まれなかったウェールズのネコ・ウィリアムズも、代表デビューが昨年9月という新鋭ながら、すでに11キャップを誇る注目の若手だ。当初は3−4−3の右WBで起用されていたが、今年3月のW杯予選を含め、今大会では左WBもしくは4−3−3の左インサイドハーフでのプレーが有力視されている。

 

 所属のリバプールでは、右SBトレント・アレクサンダー=アーノルドのバックアッパーとしてユルゲン・クロップ監督から重宝されているが、複数ポジションをこなす器用さがセールスポイントのひとつ。抜かりのない守備、積極的な攻撃参加と高精度のキックなど、9歳でリバプールのアカデミーに入団したエリートが大舞台でどれだけ実力を発揮できるかは必見と言える。

 

 この世代では、イングランド代表FWのブカヨ・サカ(アーセナル/19歳)、スペイン代表DFのエリック・ガルシア(マンチェスター・シティ→7月にバルセロナ移籍/20歳)らも注目株。まだレギュラーを手にしたわけではないが、ブレイクの可能性を秘めた期待の星として注目が集まる。

今大会で随一の注目度を誇る天才MF

 そして、今大会に参加する若手選手のなかで最も注目を浴びているヤングスターが、2002年生まれのスペイン代表MFペドリ(18歳)である。初戦のスウェーデン戦でもフル出場を果たし、随所でその稀有な才能を披露するなど、すでにスペイン代表の主軸を担う超新星だ。

 

 2020−21シーズンに新天地バルセロナで大ブレイクしたことを受け、今年3月にW杯予選のギリシャ戦で代表デビュー。続くジョージア戦とコソボ戦では左インサイドハーフでスタメン出場を果たすと、バルセロナ同様のパフォーマンスを披露してチーム内における序列を一気に上昇させた。

 

 最大の強みは、相手のプレッシャーを外しながらボールを扱う技術と身のこなしで、18歳とは思えない卓越した戦術眼の持ち主でもある。イメージ的には、バルセロナの名手シャビとアンドレス・イニエスタを足して2で割ったような選手。

 

 よりフィジカルが重視される現代サッカーに対するアンチ・テーゼとも言える華麗なプレースタイルは、多くのサッカーファンを魅了するはずだ。

 

 そのほかの2002年生まれの選手としては、すでに初戦のオランダ戦でユーロ・デビューを飾ったウクライナ代表DFのイリア・ザバルニー(ディナモ・キエフ/18歳)も注目のタレント。また、バックアッパーながらこの世代最高の左SBと評されるポルトガル代表DFのヌーノ・メンデス(スポルティング/18歳)、今シーズンのリーグアンでブレイクしたベルギー代表FWのジェレミー・ドク(レンヌ/19歳)もチェックしたい。

 

 そして今大会では、最年少にあたる2003年生まれの逸材もいる。イングランド代表MFのジュード・ベリンガム(ドルトムント/17歳)、ドイツ代表MFのジャマル・ムシアラ(バイエルン/18歳)、そしてポーランド代表MFのカツペル・コズウォフスキ(ポゴニ・シュチェチン/17歳)の3人だ。

 

 彼ら3人にとってユーロの舞台は貴重な経験の場となるが、何が起こるかわからないのが短期決戦。プレーいかんで超新星としてクローズアップされる可能性もある。優勝争いの行方やワールドクラスのプレーぶりが注目されるユーロ2020だが、彼ら3人も含めたヤングタレントのパフォーマンスにも注目してほしい。

 

 

(集英社 Web Sportiva 6月8日掲載・加筆訂正)

 

中山淳

サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。明治学院大学国際学部卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。紙・WEB媒体に寄稿する他、CS放送のサッカー番組に出演する。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社が発行する「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

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