調律師

”調律師”  熊谷達也著  文芸春秋社
元々「色聴」を持っていた元ピアニストの調律師、鳴瀬が共感覚「嗅聴」によって
 調律師の仕事を続けるが、妻の死による喪失感に長らく苦しめられている。
匂いで音を表現する共感覚という変わった設定だが、調律師の仕事の難しさを
 ピアノの構造とともに多少なりとも理解することが出来る。
筆者が本著を執筆中に東日本大震災が発生し、そのことが作品の展開に
 大きな影響を与えるが、6話からの急展開には若干戸惑いを覚えた。
尚、本著に出てくる共感覚は一部で使われる専門用語で
 「嗅聴」は稀だが、「色聴」は共感覚の中では例が多いようだ。
死んだ妻・絵梨子にウリ二つの妹・由梨子の登場が花を添えている。

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