原監督の采配総括(その1)

 昨日,セのCS第2ステージ敗退後,「巨人にとって激動のオフの始まり」と書きましたが早速始まりました.セのCS第1ステージで阪神に勝った後,退任する阪神の和田監督をねぎらう原監督を見て,「自分も辞任の覚悟をしているな.」とは思っていましたが,辞任申し出は予想以上に早かったですね.

 原監督は,2002年に長嶋さんの後をついで監督に就任しました.仁志(二塁)・清水(レフト)・高橋由(ライト)・松井(センター)・清原(ファースト)・江藤(サード)・二岡(ショート)・阿部(捕手,このとき2年目)の野手陣,上原・桑田・高橋尚・工藤(現SB監督)の投手陣というように圧倒的な既存戦力に加えて,伸び悩んでいた斉藤宜(外野手)や河原(投手)をも抜擢して,圧勝の形でセリーグおよび日本シリーズを勝ち抜きました.斉藤宜(外野手)や河原(投手)等の抜擢を除くと,私には「普通の采配をした.」という印象が強く,「このメンツで長嶋さんはどうして優勝できなかったのだろう.やはり長嶋さんの采配へ変だったよなあ.」と思ったものです.

 しかし,2002年オフに松井がMLBへ行って状況は一変します.代わりにペタジーニをヤクルトから獲得したものの,清原がファーストにいたことから外野に回されたペタジーニが期待したような成績を残せず,原監督の2003年の采配は迷走しました.当時の原さんは,まだ,選手への遠慮(たとえば清原への遠慮)があり,それが采配の中途半端さにつながったという印象があります.

最終的に2003年は3位となり,フロントともぶつかって2003年オフに原監督は退任します.

 その後をついだ堀内監督の下,巨人はさらに迷走し,2004年は3位,2005年は4位に沈んで,2005年オフに原さんは2度目の監督に就任します.

 同時に球団は,清原・江藤・元木・ローズといったベテラン選手を切り,オリックスからパウエル投手を,ロッテからは李内野手を獲得してチームの刷新とともに原監督をバックアップします.2006年のシーズン,巨人は最初こそ飛び出すものの,交流戦の頃には息切れして,結局4位に終わります.

 2006年オフには,球団は桑田・工藤も切り,FAで小笠原内野手・門倉投手を獲得します.2007年のシーズンは,小笠原や高橋由の活躍により,巨人は中日との競り合いを制してリーグ優勝します.しかし,それで息切れしてしまってCSでは中日に惨敗します.この結果を受けて,(リーグ優勝したのにも関わらず)球団はさらに戦力のテコ入れを行います.ヤクルトからグライシンガー投手・ラミレス外野手を,横浜からクルーン投手を獲得して戦力は傍目にも盤石と見えました.

 2008年のシーズンは,前年に無理をさせた高橋由・小笠原が不調で巨人は下位に低迷する一方,阪神が開幕から飛び出して首位を独走します.しかし,戦力に自信を持っていた原監督は,落ち着いて故障者の回復を待つ一方,越智・山口といった若手投手を起用して戦力の整備につとめます,夏場以降故障者の復帰・復調と新戦力の台頭でもって,巨人は阪神を猛追し逆転優勝を果たします.日本シリーズでは西武に惜敗したものの,この2008年の原監督の采配は見事なものでした.

 球団も余裕を持ったのか(金がなくなったのか),2008年オフは目立った外部補強もしませんでしたが,2009年のシーズン,巨人は圧倒的な強さで優勝します.チーム打率(得点)1位,チーム防御率1位という充実ぶりでした.巨人は日本シリーズも制しました.また,原監督は2009年のシーズン前にWBCの監督をつとめ,日本を優勝に導きました.絶頂にあった原監督ですが,2009年オフからそれは暗転し始めます.

 (つづく)


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