モンブラン

それは台風と共にやってきた、ある日の惨事

 

私はその日、普段疲れている体に休息を与えようとベットにもぐり仮眠をしていた

 

ふと目覚め、小腹がすいたので私が大事に冷蔵庫に保管していたモンブラン(前日購入)を食べようと、食卓のある部屋へ向かった

 

冷蔵庫の前に立ち、高ぶる鼓動を抑えつつ、ドアを開いた

 

相変わらず何も無い冷蔵庫だ。調味料とらっきょうが空虚な空間に一際目立っている

 

自宅の冷蔵庫にて格差社会の末端を確認するとはなんと滑稽な話であろう。

 

喉が渇こうが水すらない。調味料とらっきょうだけだ

 

まさに東京砂漠といっても過言ではあるまい

 

余談が入ってしまったが、とにかく私は目的のものを探すことにした

 

私はつくづくな奴だ。見た瞬間になにがあるかわかる冷蔵庫に目的の物がないとわかっていても30秒ほど探し続けていた。

 

すると本来あるべき物の場所に

 

置手紙が添えられていた――

 

 

 

 

 

 

---------モンブランハイタダイタ---------ルパン

 

―追伸―チチキトクスグカエレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに言っておくが父は元気だ──

 

今隣の部屋で録画していた必殺仕事人を観ている

 

──私はどこに帰ればいいというのか

 

 

我が家にルパンが押し入ろうとは誰が予想できたであろう

 

 

人生とは挫折と苦悩の繰返しである

 

このありふれた日常生活を我々は繰り返して生きている。

 

 

 

私は束の間の静かな夕暮れに時に、少しばかりセンチメンタルの感傷に浸りながら、今注いだばかりの紅茶の香りにどこかノスタルジックなロマンスを感じずにはいられない──

 

 

 

 

 

――それは、ある三時の出来事であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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