地域づくりと野球「立地論的側面からのプロ野球」


プロ野球は何故、今までは大都市限定で商売をしていたのか。

これはいわゆる「立地論」「集積論」の部分から語ることが出来るでしょう。

「集積論」という学問があります。
これはこの学問の父的存在のアルフレッド・ヴェーバーが著書、「経済学原理」で出した一つの論理といわれていますが、
この本では簡単に言うと「集積とは人・モノ・カネが特定の場所に集まる」ことなのだそうです。
これは産業の面、とくに工業立地を法則的なものにした理論で、産業集積や経済地理といった学問の
ベースになっているものです。
これに関してはいろいろな教科書的なものがあります(難しい数学式を除けば志の高い高校生なら普通に読める)ので、amazonやブックオフなどで探してみていただければと思います。

で、ヴェーバーの集積論には
1.工場から商品を買ってくれる場所までのアクセス(輸送費)
2.工場で商品を作るための労働者の給料(労働費)
3.工場がいっぱいあることでコストダウンが出来る(費用最小限化原則)
があるとしていて、これは都市の成立にもなるといわれています。




















これらをまとめて集積因子というそうなのですが、反対に分散因子というものもあります。

これを説明しやすいのはヴェーバーのあとを受けたフーバーが「抑制要因」として挙げている
「局地的集中の不経済」がよく説明していると思います。
つまり、賃金上昇や工業用水などの資源の取り合いになるということなのです。
(愛知県の例で取ればトヨタの業績好調と愛知万博の影響でホテル不足が深刻化=ホテル・もしくは事業に必要な土地の確保の困難から土地価格の上昇+人口減少に伴う労働力不足のため、トヨタは
東北地方に工場を新設し、コスト削減を図ると同時に分散化を図るという感じでしょうか。)





プロ野球に例えると、こういうことでしょう。
昭和40年代の日本のプロ野球は東名阪でしか成立しないといった都市伝説的な話がありました。
事実名古屋を除いて東京と大阪ではそれぞれ6球団(西武・ロッテ・日本ハム・大洋・讀賣・ヤクルト)・4球団(南海・阪神・阪急・近鉄)と集積が起きていました。
これは選手の移動コスト(ここでは選手の身体的・精神的負担も含む)の問題や大都市部に人口が集中しており、まだまだ右肩上がりに成長できる可能性があったからなのでしょうが、
オイルショックやバブル景気の付近から日本のエンターテイメント産業にファミコンや多種多様なバラエティが登場したこと、近年の空港・新幹線・高速道路網の整備といったこと、人口が一定の伸びで止まったなどでプロ野球が大都市に集積する必要が無くなった結果、北海道から九州まで各地方へ移転することで観客動員数の維持やエンターテイメント産業の開拓を狙ったというのは悪くない選択だったものと思われます。


ところがこの「分散因子」に当てはまらないのが野球の難しいところです。
阪神ファン自身が「人が多すぎて応援する気になれない」と離れていく数が目立つほど出ていません。
試合を見たいためならばビジターエリアにも進出するだけでなく、そのファン層は全国に幅広く存在しています。

次回はそんな彼らについて掘り下げてみたいと思います。
結構毒もありそうですが。


























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