目の前で小坂がホームランを打った日

前日に、千葉からプチ遠征に行こうと決めた。


ハマスタまで、3時間はかかる。
帰りがあやしい。

それでも自称ロッテファンは、すっかり楽天しか見えていなかった。
誰よりも、小坂が見たかったから。


今夜の
いや、昨夜の出来事が原因で、
いつになっても眠れずにいる。


小坂誠は、2005年にロッテが優勝したとき、たしかにあの輪の中にいた。
そしてすぐに予期せぬ形でロッテを去り、巨人に行ってからは公式記録にホームランは1本もなく、よもや1軍登録さえ少ない選手と成り果てていた。
いつかのロッテの小坂誠は、ロッテの1、2を争うほどの人気選手で、かわいらしい顔と小さい姿、謙虚で基本に忠実、超スゴイ守備力に、女子供はキャーキャー、男は思わず唸る(そしてやはりちょっとかわいいとか思わせる)選手だった。
そんなロッテ時代でも、平均したところで1本か2本ほどしかホームランなんて打たない、いわば短距離バッターだった。
打率は、良くて2割5分。




2009年5月25日、私は4年ぶりの横浜スタジアムにいた。
実に4年前、ロッテが優勝した年の、最初の交流戦ぶりの、横浜スタジアム。

小坂誠が見たい一心で背番号32を背負う。


3回表、私は悲鳴をあげた。


その小坂がホームランを打ってしまった。
目の前で、弧をえがく打球。
一瞬の奇跡。

スコアボードにHR.1が輝いた。

小坂の打率は2割6分を越えていた。
気がつけば10試合連続安打らしい。

あれから4年ぶりのホームラン。逆転の2ランホームラン。


それでも試合は逆転サヨナラ負け。


小坂さん、ナイスホームランでした。


そんなふうに声をかけても、試合は負けてしまったから、黙っている。


ニュースにもならなかった、あの一本のホームラン・・・


あのホームラン・・・


嬉しいとか
悔しいとか
悲しいとか

全部飛び越えて、
私の心に飛びこんできた、
あのホームランが・・・


言葉じゃ埋められないくらいの
一生忘れられないホームランになったことを
私は、言葉では、伝えることができない。



全身全霊の一言を放つならば、
小坂さん、
ありがとうございました。


ありがとうございました。

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