
09/10シーズン フランス リーグ1総括
-
-
けんたくん
2010年05月17日 18:22 visibility439
ジュニーニョ、ベンゼマが抜け、チーム造りに時間が掛かったリヨンの出遅れ、リーグ2から昇格したばかりのモンペリエ(かつて廣山が在籍していた)の予想外の大駆け、ボルドーのまさかの後半の失速などなど、大混戦となった今期のフランス・リーグ1も、とうとう全日程を終了しました。
最終的な順位は
優勝 マルセイユ 78p
2位 リヨン 72p
3位 オーセール 71p
4位 リール 70p
5位 モンペリエ 69p
6位 ボルドー 64p
連覇を狙ったボルドーは昨期からの好調を維持し、抜群のスタートダッシュでシーズンをスタート。チャンピオンズリーグのグループリーグでもバイエルンやユヴェントスを一蹴し、フランスカップ、リーグカップを含めた国内三冠+αの大躍進を誰もが予想していたものの、ローラン・ブランのフランス代表監督就任問題、チームの得点源になっていたシャマフのアーセナル移籍スッパ抜き等のゴタゴタの影響もあってか年明けから調子を落として一気に足踏み。準々決勝まで駒を進めたチャンピオンズリーグも近年で最弱だったと思われるリヨンにアッサリやられ、国内カップ戦も立て続けに敗退し、結局無冠に。来期のヨーロッパカップ進出すらも逃す最悪のシーズンになってしまいました。ブランの次期代表監督就任は決定的になっており、フランス代表のゲームメイカー、グルキュフを含む多くの有力選手も移籍を希望している為、次期監督を含めて新しいチーム造りが急務になりそうです。
そしてそんなボルドーをよそにリーグ優勝を決めたのはマルセイユ。フランス国内では抜群の人気を誇るマルセイユの優勝は何と18シーズンぶり。奇しくも前回のリーグ優勝時は現監督のディディエ・デシャンが主将を務めていたシーズンだそうです。更に先だって行われたリーグカップ(ナビスコカップにあたるカップ戦)決勝でもボルドーを蹴散らし二冠達成ということでマルセイエにとって予想外の最高のシーズンになりました。シーズン当初はパリ郊外出身で現在もパリサンジェルマンの熱烈なサポーターであるベナルファが「パリ戦には出場したくない」と駄々をこねたことから監督デシャンとの確執が生まれるなど、しょーもない問題を抱えていたものの、キャプテンのニアング(セネガル代表で今期のリーグ1得点王)の介入もあり徐々に解消。ポルトから獲得したFWルチョもチームにフィットし、終わってみればぶっちぎりのリーグ最多得点を誇る、攻撃的なチームが出来上がっていました。チャンピオンズリーグ本戦出場が決まっている来期に向けては選手層の強化が急務。早くもルマンのアントニー・ルタレック、レンヌのジミー・ブリアン(共にナスリ、ベンゼマ世代のストライカー)あたりの名前が獲得の候補として挙がっていますが、デシャンがモナコでチャンピオンズリーグ準優勝を決めた時のメンバーで、今期チームが調子を落とした時も献身的なプレーでボルドーを支えたプラシル(チェコ代表)あたりも狙っているんじゃないかと勘繰ってしまう今日この頃です。
2位には最後の最後に何とか滑り込む形でリヨンが入りました。中堅チームだったリールを上位に押し上げたことが評価されて昨期就任したピュエル監督は就任当初から練習方法や起用法(リヨンが長年培ってきた4ー3ー3ではなく、彼がリールで実績を作った時に用いていた4-4-2にこだわった事が発端)を巡って選手の多くを敵に回し、チームの主軸だったジュニーニョはシーズン前に退団。その後も選手たちとの関係は悪くなる一方で、チームは近年で最悪の状況に。結局、結果の出ない4-4-2から元の3センターに戻すことになり、年末のチュニジア合宿明けからFWリサンドロ頼みのしょうも無いサッカーで怒涛の追い上げを見せて2位に滑り込み、何とか来期のチャンピオンズリーグ出場を決めました。しかしまたしてもチームの軸になっているトゥラランがセードルフの後釜としてACミランに、フランス代表でも最も評価の高いGKロリスがバイエルンに、そしてリヨンのリーグ戦初優勝時からのメンバーだったゴヴも今夏国外移籍と噂されており、前途多難なプールリーグが予想されます。監督はピュエルのままで良いんでしょうか?謎です。
そして3位に滑り込んだのはまさかの大躍進を遂げたブルゴーニュの小クラブ、オーセール。育成には定評のあるクラブで、シセ、メクセス、かつてはカントナもここから巣立って行ったが、フランスの他の多くのクラブと同様「育てて売る」中堅チームだけに上位進出は予想外の好成績。前線にトップの2人を残して全員でコンパクトにディフェンスし(リーグ最小失点)奪ったボールを司令塔のペドレッティから快速2トップのイェレンとニクラエに裏に走らせるピンポイントのスルーパスで高速カウンターという戦術を完成させた監督のジャン・フェルナンデスは今期のリーグ1最優秀監督に選ばれました。ブランの離脱が決定的となっているボルドーが彼を次期監督に狙っており、またオリンピック代表でシセ、メクセスと共にユーロを優勝し将来を嘱望されたペドレッティもマルセイユ→リヨンと渡り歩いて今年で30歳。国外でのプレーをするなら今夏の移籍が最後のチャンスということで移籍を熱望しており、彼等を引き留められるかどうかが来期に向けた課題になりそうです。
4位リールは多くのチームが問題を抱える中で着実にポイントを重ね、一昨日の時点では2位をキープ。チャンピオンズリーグ出場をほぼ手中にしていながら、プレッシャーからか最終節で格下相手に痛恨の敗戦。ポイント争いでリヨン、オーセールに追い抜かれ、悔しい結果に。しかしながら元フランス代表キーパー、グレゴリー・クペが移籍してきたことでパリサンジェルマンを追われてリールに移ったGKランドローはこれまでの度重なる珍プレーが嘘のような落ち着いたプレーで再三チームを救い、ついに代表召集という地獄から天国なシーズンとなりました。
5位は今期リーグ1に昇格したばかりのモンペリエ。ほぼ全員がユース育ちで目立った選手は居ないものの、コレクティヴなサッカーで上位チームをことごとく撃破し、今期リーグ1の優勝争いを終始賑わせる台風の目になりました。終盤戦に司令塔のコスタが負傷した事が選手層の薄い小クラブにとって痛手となり順位を落としたけれど、それでも昇格初年度でヨーロッパカップ行きを決めたのは十分評価されて良いはず。来期は左ウィング、アイ・ファナのドリブルがヨーロッパの舞台でどの程度通用するのか楽しみです。
というわけで来期はマルセイユとリヨンがチャンピオンズリーグにストレートイン。オーセールがチャンピオンズリーグのプレーオフ。リール、モンペリエとフランスカップを制したパリサンジェルマン(大活躍したマケレレは残念ながら今季で引退するそう)がヨーロッパカップに駒を進めることになりました。グルノーブルで散々なシーズンを送った松井は中堅のヴァランシエンヌ移籍か日本への帰国が噂されているけれど、どうなることやら。ワールドカップで良いところを見せて、あわよくばマルセイユなんかから声が掛かれば最高なんだけどなあと思う今日この頃です。
《補足》
今シーズン途中からリーグ2のメスに加入してチームを牽引、昇格争いを沸かせた(残念ながら4位フィニッシュで昇格ならず)元フランス代表FWシルヴァン・ヴィルトールが引退する模様。リヨン黄金期の中心メンバーで、アーセナルでも活躍。指導者としてサッカーに関ることには興味が無いらしく、今後の動向に注目したいところ。先日TVのクイズ番組に出ていたところをみると、タレント転向も有り得るのか?
また、98年フランス大会優勝時のメンバーだったフランク・ルブフが舞台役者としてデビュー。名役者としての地位を築きつつあるエリック・カントナに続けるか。
その他、当時のメンバーはこんな活動をしています。
ローラン・ブラン→ボルドー監督
ディディエ・デシャン→マルセイユ監督
ヴィセンテ・リザラズ→TF1(TV)、RTL(ラジオ)でサッカー解説
クリストフ・ドゥガイー→CANAL+(TV)でサッカー解説。冬場、毎回大仰なダウンジャケットを着て登場していた為「カナディアンマン」と呼ばれていた。
リリアン・テュラム→政治家(現役時代から桁外れのインテリで知られていた選手だけに、タレント議員ではなく本気の政治家として国民からの期待は大きい)
- favorite4 visibility439
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件