台湾野球はドーム球場の夢を見るか?

  • ミオヂ
    2006年05月29日 23:49 visibility533


会社を出来るだけ早く出て、秋葉原で乗り換えて水道橋で降りるまで、妙な気分だった。

こういう目的で東京ドームくんだりまで向かっている人間が何人いるんだろう、と思ってしまう。

目的はアジアシリーズ、千葉ロッテVS興農ブルズ戦観戦。しかもブルズの応援。

「お前日本人だろ?」と言われそうだが、ご勘弁。ここ4年間、年1回台湾に行って台湾野球を観るのが年中行事の私にしてみりゃ、せっかく来てくれたクラブチーム台湾チャンピオンを応援するのはなんか義務のような気がしたんである。勝てるとまではいかんが、食らいついてくれるんじゃないか?とも思ったし。

ホントは台湾シリーズで4連敗食らった誠泰コブラスに来て欲しかったんだが仕方ない。

観たかったなぁ東京ドームで、日本ファンからの声援を浴びる郭泰源監督と呂明賜コーチ。

 

それはともかく、当日券で内野席へ。台湾野球の観客は内野席で応援するんで、その応援っぷりを観てみたいとも思ったんである。

おお、5分程度の入りの内野席の前の方に行くと北京語が飛び交っている。多分ツアーかなにかで来てるんだろう大学生くらいの台湾人集団が始まる前からはしゃぎっぱなし。アジアシリーズのマークの入った棒風船をガンガン叩き気勢を上げている。

初めてのドーム(台湾にはドーム球場がまだない)と言うのもあるのだろう。ブルズの選手が練習で出てきた時から,ボルテージ上がりまくり。

ブルズの白にライトグリーンのユニフォームはなかなかドーム映えする。

ネット前の急しつらえのステージでは応援団のリード役の人たちが準備をしている。

台湾応援団,準備完了というよりすでに出来上がっている。

レフトスタンドには続々とマリサポが詰めかけて白くなってゆく。おそらくスゴい音量で応援してくるだろう。

しかし、台北で観たブルズの応援は人数は及ばないが、日本の応援とは違う「いつ爆竹鳴らすの?」といいたくなる中華風の異様な迫力と騒がしさがあった。

ひょっとしたら応援団もいい戦いになるのではと、期待が高まる。

 

そして試合開始。

・・・試合経過省略。ネットでググって結果は探してください。

・・・あんな野球でロッテに勝てるかぁ!!!

何だよー、森林王子、張泰山をはじめとするあの淡白なバッティング、揺さぶらない走塁、140Kでないエースの陽建福、雑な守備・・・。

特に2回のゲッツー取れたはずのシーンのボーンヘッド。フォースプレイがわかっとんのかー?喝だなこりゃぁ。かぁーーつ!!

勝つまではいかずとも、ちったぁ食らいついてくれるかと思ったんだがなぁ。

 

試合については以上。

こりゃー勝てない!と思ったので試合中盤から、応援団ウォッチングに切り替え。

さて、台湾野球の応援と言うと、日が落ちて、それでも暑い台湾の空の下、汗まみれのリードの人が大音量のマイクで、お客を煽り巨大な太鼓が打ち鳴らされてそれに合わせて観客がメガホンを振り、打ち鳴らし力の限り声援を飛ばす、というのが私の印象。

とにかくやかましい。応援パターンは日本のように多くはないが元気のよさと熱気は日本以上だ。

が、しかし。

ドーム内では許可が下りなかったのだろうか?リードの人がマイクを持っていない。

肉声で力の限り叫んではいるが、ドームの天井は高い。響かない。

それでも台湾から持ち込んだ、直径1m以上はあるのではないかと思われる太鼓は大音響をあげて、それに合わせてブルズファン「ラッチャーラッチャー!!」と独特のかけ声で絶叫。ヒットが出ると白い棒風船が一斉に踊る。

マリサポの大音量を水際で食い止めるパワーのある応援だ。

点差がつきはじめて中だるみした回もあったものの、6回裏1点を取った時の「まだこれから!」な嬉しさ爆発と観光気分の高揚が相まってか異常なまでの盛り上がり。

CPBL(中華棒球連盟)の大旗が翻る中、台湾国旗をかぶって、絶叫しながら通路を爆走する奴,叩きすぎて棒風船を割ってしまい、顔を真っ赤にしてストローで代わりの風船を膨らませる奴、とにかくかん高い北京語で独自に声援を飛ばす姉ちゃん、日本在住の台湾人ビジネスマンなんだろうか、アタッシュケースとスーツ姿で声援を飛ばし、時々携帯で何やら喋っている男・・・

とまぁ、多少の問題はあり、マリサポに比べて少ない人数ながら東京ドーム1塁側は、普段は観られない異国のお祭りみたいな空間が展開されていたんであった。

少なくとも、6回裏までは。

 

そして7回の表、さすがのブルズファンも点差がつくにつけ「これは勝てない」と思ったのか、だんだんボルテージが落ちていく。

それに反比例してマリサポのボルテージは毎回上昇。「エリーゼのために」がこちら側でもよく聞こえるようになってくる。とうとう、応援までロッテに食われてしまった。

私の目の前で叫びまくり、はしゃいで応援していた台湾人の兄ちゃんもだんだん静かになって行く。飛行機で3時間以上かけてやってきて、彼らが観てるのがこの試合とは、ちょっと気の毒になってくる。

あいかわらず声を出してる観客もいるが大半の観客は目の前の「千葉羅徳海洋隊(千葉ロッテの台湾表記)」の強さと「興農牛隊(ブルズの台湾表記)」のふがいなさにガッカリの様子だった。

と、言うか私もガッカリだ。台湾チャンピオンだぞ?もちっと食らいついてくれると思ったんだがなぁ。

そして7回裏、最後のバッターが倒れると私の前の兄ちゃんが「まだ2回残ってるぞー!」と言う感じの声援を元気に飛ばしていたのだが,マウンド上で握手する清水,引き上げるブルズ選手を観てこの大会のルールを思い出したらしく、がくっとうなだれてイスに座り込んだ。興農ブルズ,コールド負け。

大騒ぎのレフトスタンドをよそにみんな静かになった1塁側で「あー・・コブラスが来て郭泰源が来た方がまだ盛り上がったのに・・」と思っていたら、ブルズの選手が1塁側に挨拶に来る。ブーイングの嵐か?と思いきや案外暖かい拍手で迎えられる。もっとも、翌日の台湾の新聞には「我が国の恥!」とまで書かれたそうだけど。

 

帰って行く台湾人観客の大半は、「勝てる!と思ったけどこうなってしまったか〜」と言った感じの苦笑い状態。しかしトイレに入って自分の顔を見ると,台湾人観客と同じような顔をしていたのに笑ってしまった。

不思議に何故か2006年はどこの台湾のチームが来てもまた応援してみようという気になった。

ところで、「あの「ラッチャーラッチャー」というかけ声ってどう言う意味なんだろう?

清水のヒーローインタビューが流れる中,北京語を勉強して来年ここに来た台湾人をつかまえて聞いてみようかなと思った。

 

 




奥に見える青と赤の人たちが、応援リーダー。マイクを持たせてやりたかった。


この日もレフトスタンドは白かった。





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