野球漫画推薦図書 第三話
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やきゅうとかげ
2011年10月19日 20:31 visibility425
野球漫画推薦図書
(ときどき非推薦図書)
第三話
最弱!ルーズドッグス(片山まさゆき)
ご存知、麻雀漫画の第一人者・片山まさゆきの知られざる(またか)野球漫画。
「ぎゅわんぶらあ自己中心派」や「スーパーヅガン」に代表される麻雀漫画しか描いていない印象がある作者ですが
野球をテーマにしたこの「最弱!ルーズドッグス」、
他に三国志を描いた「SWEET三国志」
…なんかもぜひおさえておきたい佳作です。
(SWEET三国志も強くオススメしたいのですが、とりあえずここは野球漫画限定にしておきましょう)
*以下、本編ラストシーンを含むネタバレが多数ありますので未読の方はご注意ください
--あらすじ--
この年のペナントレースも、常勝球団「東京ムーンベアーズ」が圧倒的な独走で優勝を手にした。
居酒屋でひとり呑みながら、その様子をテレビ観戦していた霧中望留(きりなか・ぼうる)は、ムーンベアーズの強さに不快な態度を示したせいで店を追い出される。
「(ペナント100回やって100回勝つチームを応援してなぜ面白い?)」
「(優勝しときながら 負けた側のグチもほっとけない度量の狭さ 最悪だな)」
くさる霧中の前に、全裸に天使の羽がはえた老人、自称野球の神様「ベースボールゴッド」があらわれた。
ー今の野球界は腐敗している。おまえにひとつ球団をあげるから、その球団で思い切りあばれて熱いベースボールを復活させよー
ベースボールゴッドは霧中にそう告げて消えた。
夢かー?
そんな霧中の前に、学生時代の友人ミミガーが訪れる。
「何かで成功して」大金を手にしたミミガーは、プロ球団である「武蔵野ルーズドッグス」をキャッシュで購入。
友人の中でも一番野球がうまかった霧中を監督として迎えたいというのである。
しかしルーズドッグスは万年最下位のプロ野球史上最弱のチームだった...
ただの野球好きの素人監督に冷たく接するルーズドッグスの面々。
すっかり勝ち方を忘れてしまった弱小球団を立て直そうと奮闘する霧中。
ベースボールゴッドは言う。
ー現状を打破するには、5人の戦士を捜すのじゃー
ありがちな展開。しかしあらわれた戦士はキャバ嬢や運送屋さん…?
「このメンバーでどうやって戦うんだ!」
結成以来40年、最下位を脱したことのない最弱チーム・ルーズドッグス。その歴史の中でも最も弱いという現戦力で、霧中はペナントレースに挑む。
果たしてその結末は!?
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作者ならではのシュール&ナンセンス(最近言わないねナンセンスって)なギャグのオンパレード。
でも随所に切れ味の良い名言も多いです。
あらすじ冒頭の
「ペナント100回やって100回勝つチームを応援してなぜ面白い?」
...も、そのひとつ。
もちろん常勝チームを応援するのも楽しみ方の一つですが、いわゆる判官贔屓というもので、絶対的な強さに対しては反骨精神が沸いてしまいます。
ましてや、この作品での最強チーム「東京ムーンベアーズ」は、オーナーの王流魔院(おうる・まいん)の資金力をバックにした独裁でやりたい放題。
否定的な発言をした解説者を追放したり、対戦カードを勝手に組み替えたり、挙げ句には球場を改造して、ムーンベアーズの有利になるような工作まで。
この強敵相手に、ルーズドッグスはいかに戦っていくのか。
最初から最後まで、極端にばかばかしいノリで押し通す勢いだけのギャグ漫画かと思いきや、最終的にルーズドッグスとムーンベアーズで優勝を争うことになる(!)というクライマックスにかけての展開は、なかなか燃えるものがあります。
最終戦の終盤、オーナーが不正な工作をおこなっていることに気がついたムーンベアーズの主砲・世界田(せかいだ)が、VIPルームに乗り込むシーンも名場面。世界田は王流を縛り、「いいか 大人しく見てろ そして...」
「俺達に、野球をやらせろ」
現場の選手にとっては、野球は野球。フロントが腐敗してもプレイヤーは腐ってはいなかった。正々堂々とぶつかりあう両チーム、そして...
決着は、ここでは伏せておきましょう。あっさりした読後感がなかなか気持ちいい一作です。
*文中敬称は略させていただきました
- 事務局に通報しました。
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